今年はカーナビメーカー各社がヘッドアップディスプレー(HUD)をオプションとしてラインナップしてきた。HUDの取り付け位置であるとか、「どのような情報を映し出すのか」については各社の思想によって違いがある。
他社のHUDがバイザー位置に取り付けているのに対し、パナソニックが「フロントインフォディスプレイ」と称するHUD「CY-DF100D」はダッシュボードに取り付けている。HUDが目の前に常時あるわけではなく、前方へ視線を落とすだけで自然に目に入る位置なので、日常的な使用でも邪魔に感じることはない。
ルート設定がなされている場合、HUDに表示されるのはターン・バイ・ターンタイプのナビのような矢印表示と交差点名称、走行レーンの表示がメインとなる。画面構成に派手な部分はまったくなく、表示されるグラフィックのアクションも少ないが、エンターテイメント性をあえて排し、「安心・安全」に主眼を置くというパナソニックの思想はしっかりと反映されている。
また、このHUDは「運転席から125cm前方に6.5インチ相当の画面が現れる」というコンセプトで作られているが、このサイズは一般的なPNDとほぼ同じとなる。装着するクルマによってベストポジションが変わるために若干の差異はあるが、その大きさはちょっと衝撃的だ。
このCY-DF100D、予定される市価は約5万円。対応ナビと組み合わせると約15万円となる見込み。ナビ本体の価格が下がってきているので、単体で見ると非常に高額なオプションのように思えるが、セットで見ると価格の衝撃度は和らぐ。取り付け対応車種は「ダッシュボードが平坦なクルマ」で、確認済みの車種はまだ限られているが、組み合わせることでナビ本来の機能である「誘導」が格段に進化する。
運転に慣れた…というよりは、注意散漫になりやすい初心者や女性にこそお勧めしたい。ナビの画面を注視する必要がなくなるので脇見は避けられるし、進むべきレーン表示の見易さは通常のナビ画面以上のもの。
価格の高いオプションではあるが、安全面などを考えたら十分に元が取れるアイテムだ。