むずかしいなあ、というのが率直な気持ち。4人で乗るなら、セダンがあるし、荷物を積むならワゴンがあるし。大きさが物足りないなら、『5シリーズ』に行けばいいわけで。日本でリアガラスごと開くボディは、なにかと受入れにくいのである。欧州では大人気なんだけど。
『3シリーズ』よりちょい大きなボディは、特に後部座席がとても広い。身長170cmの私が座っていても、足元ゆったりなのである。この後部座席の広さこそ、グランツーリスモの最大のアピールポイントなのだろう。ああ、日本に、大人4人でドライブデートという洒落た習慣があれば、もっと活躍するだろうに。
そう、大人なのだ。これは20代や、30代そこそこでは乗りこなせない。上質なインテリア。優雅な走り。そしてなめらかなボディライン。ふだんはエコモードで走りつつ、いざというときは、スポーツモードでさくっと加速する。能ある鷹は爪をなんとかという、まさにそういうクールな存在なのである。こうなると、ただ単に40代、50代になったからといって、乗りこなせるってもんじゃない。それ相応に人生を積み重ねないと、こういうクルマは似合わないのだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省 安全基準検討会検討員他、委員を兼任。