気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2013年7月3日付
●燃料電池車、ホンダ量産化に期待、GMと提携、3陣営で開発競争(読売・9面)
●中国新車販売日本勢に明暗、先月、上位3社(朝日・8面)
●NY円、100円台(毎日・2面)
●「日本の車市場閉鎖的」TPP公聴会、米業界団体が主張 (東京・6面)
●電力制御半導体に基準、トヨタなど大量生産しやすく (日経・13面)
ひとくちコメント
「次世代エコカーの本命」とか「究極のエコカー」と呼ばれて久しい燃料電池車。ただ膨大な開発費などで大きな壁にぶち当たっていたが、その本格実用化に向けて、ホンダと米ゼネラル・モーターズ(GM)の両社がタッグを組むことで合意した。
日本時間の7月2日午前、ニューヨークから燃料電池車の共同開発に関する日米自動車メーカーの提携話がメディアを通じて飛び込んできた。驚いたのはGMの相手先がホンダだった。ホンダはこれまで他社との事業提携には消極的で自主路線を取ってきたが、経営戦略における方向転換ともいえる「心境の変化」である。
正式発表は2日夜だったが、今年の10大ニュースになるほどの興味深い提携だけに、2日の夕刊では毎日と日経が1面トップ記事として取り上げたほどだった。
2日夜には、ニューヨーク市内でホンダの岩村哲夫副社長とGMのスティーブン・ガースキー副会長が記者会見を行い、燃料電池車の基幹システムと、水素燃料の貯蔵システムを共同開発することを発表した。
きょうの各紙にも「ホンダ量産化に期待」(読売)「ホンダ開発コスト削減」(毎日)、「燃料電池車主戦場に、開発へ世界3陣営」(日経)などと大きく取り上げている。
ホンダとGMによる共同開発の果実が熟すのは「2020年をめど」としているが、「一般高級車並みの500万円程度の燃料電池車を目指す方針」(読売)という。
両社の関係はホンダが1999年にGMへのエンジン供給で合意した経緯があるが、それ以上の進展はなかった。「世界のホンダ」とはいえ、相手はビッグスリーのGMである。スズキと独VWの提携解消という悪しき事例もみられるように、研究所のある栃木県を離れて国境を越える共同開発の試練をホンダの技術者も味わうことになる。