気温16度という1930年大会に並ぶ過去3位タイの低い気温でスタートを迎えた。風が弱いせいか体感温度としては決して寒くはない。
ポール・シッターのエド・カーペンターのリードで始まったレースだが、9周目にはトニー・カナーンがトップに立つ。これを皮切りに目まぐるしくリード・チェンジが行われる大激戦が展開する。1回目のピットストップを終えると佐藤琢磨は一時6番手までポジションを上げる好走を見せた。
しかし57周目、ターン2で琢磨は単独スピンを演じる。奇跡的にもウォールに当たることなくレースに復帰できた。レースは61周から193周まで実に133周もの間イエローの出ない記録的な高速レースとなる。これは遅れを挽回したい琢磨にとっては厳しい流れだった。
史上最多68回のリード・チェンジという接戦が繰り広げられる。その中心にいたのがライアン・ハンターレイ、カルロス・ムニョス、マルコ・アンドレッティのアンドレッティ勢とトニー・カナーンだった。
残り2周でカナーンがハンターレイからトップを奪うと、ムニョスもそれに続き2位に浮上。そのタイミングでダリオ・フランキッティがクラッシュを演じてしまう。
この瞬間、ムニョスとハンターレイの手から逆転優勝のチャンスがするりと逃げた。
イエロー・コーションの中、ゆっくりとトニー・カナーンが200周のチェッカー・フラッグを受ける。挑戦12年目での優勝はインディ500史上最も遅い初優勝となった。
結果を振り返れば、シボレー勢の速さにホンダ勢は終始圧倒されたレースでもあった。ホンダの最上位はジャスティン・ウイルソンの5位に終わる。
琢磨は13位フィニッシュレースでは4位のマルコ・アンドレッティに抜かれはしたが、ポイント・ランキング2位に残った。