インディカーは5月5日、この日サンパウロの市街地コースで行われたイタイパーバ・サンパウロ・インディ300の決勝レースで、ジェームズ・ヒンチクリフが最終ラップまでトップを死守していた佐藤琢磨を交わし、キャリア2度目の勝利を飾った。
市街地コースでありがちなアクシデントによるコーションが続く波乱に満ちたレースで、タイヤの管理が一つの焦点でもあった。
第37ラップの時点でトップを走っていたA.J.フォイト・レーシングのNo.14、佐藤琢磨は、コーションの間に一台ピットに戻ってタイヤを交換するという賭けに出た。19位でレースに戻った琢磨は、他の車がもう一度タイヤを交換する間にフィニッシュまでタイヤを維持することで勝利のチャンスを狙ったが、その賭けは失敗に終わった。
最後の数ラップはタイヤの磨耗が他車に比べて激しく、ブロックラインを維持して後ろから迫るジョセフ・ニューガーデンやジェームズ・ヒンチクリフを抑えるのが精一杯だった。
「タクマはレースカーを幅広く使い、インサイドをよく守った。2度くらいはやり過ぎの感もあった。(最終コーナーで)彼は少し限界を超えたようで、自分はハイ・ロー・パスをして勝つことができた」と勝利したヒンチクリフは語った。
佐藤琢磨は前回のロングビーチの市街地コースで速さを見せつけ、今や注目の的ではあるが、人気者というわけではない。
レースの実況を担当した米国のアナウンサーは度々彼のブロック行為を批判するコメントをして、レースのオフィシャルは違反行為がなかったかどうか裁定に入ったと伝えた。
実際には琢磨はイン側のラインを守っていただけで、後方からパスを試みるドライバーの動きを妨害したわけではない。イン側をブロックする先行車を交わすのは、追い抜く側の技量が単に問われるだけのことである。
結局オフィシャルは何の裁定も下さず琢磨は2位で入賞し、チャンピオンシップ順位でトップに立つこととなった。
「皆が良い仕事をした。我々にとってそれはとても堅実な一日だった。素晴らしいレースだった。我々はこの勢いをインディアナポリスに持ち込む」と合計70ラップの内、22ラップをリードした琢磨は語った。
だが、タイヤを長期間に渡って維持させるチームの作戦は明らかに失敗だった。しかも琢磨は最後のタイヤチェンジをした後、数ラップ後に再びコーションが出た間にピット入りしたにも関わらず、給油を行っただけでタイヤの交換はしなかった。
琢磨は12位スタートからの追い上げや、ディフェンディングチャンピオンのライアン・ハンター=レイを難なくオーバーテイクするなど、タイヤが良好な状態での速さは明白だった。
■サンパウロ・インディ300結果
1.ジェームズ・ヒンチクリフ
2.佐藤琢磨
3.マルコ・アンドレッティ
4.オリオール・セルビア
5.ジョセフ・ニューガーデン
6.E.J.ヴィソ
7.ダリオ・フランキッティ
8.シモーナ・デ・シルベストロ
9.サイモン・パジェノ
10.チャーリー・キンボール
11.ライアン・ハンター=レイ
12.アレックス・タグリアーニ
13.エリオ・カストロネベス
14.セバスチャン・ボーデ
15.J.R.ヒルデブランド
16.トリスタン・ヴォーティエ
17.ジェームズ・ジェイクス
18.スコット・ディクソン
19.セバスチャン・サーベドラ
20.ジャスティン・ウィルソン
21.トニー・カナーン
22.グラハム・レイホール
23.エド・カーペンター
24.ウィル・パワー
25.アナ・ベアトリス