インディカー・シリーズ第4戦ブラジル・サンパウロ市街地戦(決勝75周)が現地5日に開催され、佐藤琢磨は最終周の最終コーナーで抜かれて、惜しくも連勝を逃したが、シリーズポイント首位に浮上した。
琢磨も尊敬してやまないアイルトン・セナが眠る墓地もあるサンパウロの特設市街地コースが舞台の第4戦。狭くてバンピーな市街地コースのため、今年も接触等によるフルコースコーション発生~再スタートという展開が相次ぎ、それに各陣営の燃費的なピット戦略も絡んで、浮き沈みの激しい流れのレースになる。残り約20周、戦いがようやくコース上に集約されたところでトップの座を固めたのは、前戦優勝者である琢磨(#14 AJ Foyt Racing/ホンダ)だった。
予選では12位ともうひとつだったが、決勝でのマシンの仕上がりは前戦同様に上々の雰囲気の琢磨。しかし、トップに立った終盤は、戦略的な影響でタイヤのライフの面で辛い状況にあり、ジョセフ・ニューガーデン(#67 Sarah Fisher Hartman Racing/ホンダ)、ジェームス・ヒンチクリフ(#27 Andretti Autosport/シボレー)らの激しい攻撃を受けることとなる。プッシュ・トゥ・パス(オーバーテイクシステム)の残弾数の面でも厳しいところがあり、最終盤は防戦一方の展開を強いられた琢磨だが、なんとか首位をキープし続けた。しかし、最終周の最終コーナーで力尽き、首位から陥落……。初優勝からの連勝は成らず、2位に終わった。優勝はヒンチクリフで開幕戦以来の今季2勝目。3位にはマルコ・アンドレッティ(#25 Andretti Autosport)が入り、ニューガーデンは最終的に5位だった。
まさにあと一歩で連勝を逃したわけだが、表彰台での琢磨の表情は悔しさよりも充実感に満ちているようだった。最終盤の状況を考えればもっと順位を落としていてもおかしくはないところだっただけに、2位を守ったとも形容できる内容だったからだろう。
「ブレーキにも少しトラブルが出ていたので、ラスト10周はいつ抜かれてもおかしくない状態。最後はヒンチクリフが見事だった。とても悔しいけど、チームのクルーたちが素晴らしい力を発揮してくれて、2位という結果を手にすることができた」とレースを振り返る琢磨は、これでトータル136ポイント、シリーズランキング首位に浮上した(2位のアンドレッティを13点リード)。「チームの士気は高まっている。この勢いを保って、次のインディ500でもいい戦いをしたい」
シリーズ第5戦は、アメリカ最大のレースイベントであり、F1モナコGP、ル・マン24時間レースと並んで世界3大レースのひとつにも数えられる「インディ500」。通常のレースとは違って、決勝日までに約半月ほどのプラクティス&予選期間を経る長期戦となり、ポールポジションは5月18日の「ポール・デー」にて決まる予定だ。そして、琢磨が最終周まで優勝を争うも無念の結末に終わった昨年のリベンジを、日本モータースポーツ界はじまって以来の壮挙達成を目指す決勝は、5月26日に実施される。