【上海モーターショー13】日産フレンド・ミー、中国発のグローバルデザイン

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日産 フレンド・ミー(上海モーターショー2013)
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日産が披露した『フレンド・ミー』は、中国で“八零后”(バーリンホウ)と呼ばれる1980年以降生まれの若い世代をターゲットに、北京にある日産デザイン・チャイナ(NDC)がデザインしたコンセプトカーだ。

NDCでディレクター(副総経理)を務める豊田泰治氏によれば、フレンド・ミーをデザインする上でキーワードにしたのは「メンツ=面子」と「ダーチ=大気」の2つ。どちらも中国のカーデザインには欠かせない要素だが、それをどう解釈し、表現するかがフレンド・ミーの鍵になった。

「メンツ」は日本語の面子と同じ意味。中国ではクルマを買うときに、他の人からどう思われるか、自分のメンツが立つか、を考える。とくに重視するのが親の意見だ。70年代に「一人っ子政策」が始まってから生まれたのが“八零后”の世代。親子の絆が堅く、親のメンツもクルマ選びの要素になる。

「ダーチ」はさまざまに解釈できる言葉だが、言ってみれば「立派感」。日産に限らず多くのメーカーが伸びやかなセダン・プロポーション、ボディ前後のワイド感、メッキを多用したグリルなどで、この「ダーチ」を表現しようと試行錯誤している。

「ダーチ」なクルマで「メンツ」を得るのが、中国でのクルマ選びのポイントであり、それは“八零后”も同じ。しかし若い彼らは、上の世代とは違う何かを自己表現したい。「ダーチとメンツを、若い中国人デザイナーに表現させたのがフレンド・ミーだ」と豊田氏は告げる。

「ぎりぎりセダンに見えるプロポーション」(豊田氏)でありながら、フレンド・ミーはオーソドックスな3BOXとはまったく違うフォルム。インテリアでは4人の乗員が情報を共有できるシステムを提案し、ハイテクを駆使する“八零后”の価値観に訴求する。

ただし、フレンド・ミーのデザインは「中国市場だけを念頭にしたものではない」とも豊田氏はいう。思えば、「ダーチ」と「メンツ」は、どこの市場にも多かれ少なかれある価値観かもしれない。日産のグローバル・デザイン戦略の一翼を担うNDCの役割は、世界に通用するデザインを中国発で提案すること。フレンド・ミーはまさにその第一弾なのである。

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは11年前から審査委員長を務めている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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