【アテンザ開発者への10の質問】Q.7 車両価格を抑えるために工夫したことは?

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マツダ アテンザ
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2012年11月、マツダが販売を開始した新型『アテンザ』。3月3日現在での受注台数は当初の予定を大幅に上回る1万2000台超と、上々の立ち上がりを見せている。

同社の新世代技術"SKYACTIV TECHNOLOGY"をフルに採用した新世界戦略車である新型アテンザはどのようにして生まれたのか。それを明らかにするため、アテンザ開発陣に「10の質問」を行った。

Q.7 車両価格を抑えるために工夫したことは?
A. CX-5などとパーツ共用化をしつつ、専用設計品も用いることで最適化している。

新しいアテンザは"SKYACTIV TECHNOLOGY"によって、走りと環境性能の両面を高めることに成功している。だが、一般的には専用部品が増えていくほど、その生産コストが車両価格に上乗せされる。ハイブリッドカーの低価格化も進む現在、車両価格を抑えるための工夫も重要だ。新しいアテンザでは、ものづくりへのこだわりと、低コスト化につながる生産の効率化はどのように両立させたのか、開発主査の梶山浩氏に聞いた。

◆部品共通化=コストダウンではない

「マツダの場合、生産工場は広島と山口県の防府市にありますが、部品メーカーもそれぞれ近くに存在しているので、部品を共通化したからといってコストダウンに結びつかないことも実際にはあるんですよ。これはフォードグループ時代の反省なんですが、その部品を使うがために、結局ブラケットを新規に作らなければならなかったりしたこともあって、あまりコストダウンにはつながらなかったんです」

量産効果が見込める部品は、車体の生産ペースに合わせて地元の部品メーカーから供給した方が、結局はコストも抑えられると言う。そういえば初代『アクセラ』は、足回り系の部品をフォード系の車種と共用したために、取り付けボルトの規格がその他の部分とは異なっていたなど、部品の調達や管理が煩雑な印象もあった。ならば、今回のアテンザでは、どういう部分で生産の効率化に結び付けたのだろうか。

「VWグループのような、シャーシの大部分を共有するプラットフォームの共用化ではなく、もっと細かい構造のレベルでの共用化は進めています」

具体的な例はその部分の開発担当者に聞いてみた方が良さそうだ。まずはシャーシ部分での共用化について、車両開発本部操安性能開発部の竹下氏に聞いてみた。

◆CX-5と部品共用も、専用品で最適化

「アテンザのリヤのサブフレームはCX-5と共通なんですが、車幅の違いはサスペンションの各アーム類を調整することで行なっています。ただし、車幅が増えてアームが伸びる分、ねじれや曲げに対する剛性を確保するためにアームは専用品を設計しています」

マルチリンクサスペンションのアーム類はすべてがサブフレームにつながっている訳ではないし、車体側の取り付けやアームの形状を変えることで、そのモデルの足回りとして最適化できる。またブッシュのチューニングなどでもアテンザに特化した仕様に仕立てられそうだ。

◆車両価格を抑えながら利益も確保できる方法へと結び付ける

こうした工夫はシートについても言えるという。車両開発本部でシートや乗員保護装置の開発を行なっている藤原氏に、具体的な内容を聞いた。

「アテンザのシートに使われているベースフレームは『CX-5』と同じものです。ただ内部構造や表皮などはアテンザの乗車姿勢やクルマのキャラクターなどに合わせて独自のものを採用しました。そのため座り心地やホールド感も異なるものに仕立てています」

パワートレーンについても、機械的にはCX-5と共通化しつつも、アクセルに対するスロットル開度やATの制御などの特性はアテンザ独自のセッティングを採用していると梶山氏は言う。

「こうして仕上げられた割安感の高いモデルなら、販売の現場でも値引きを頼りにすることもなくなります。結果的に車両価格を抑えながら、利益も確保できる方法へと結び付けているのが、新しいアテンザなんです」

《高根英幸》

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