ダイハツの『ムーヴ カスタム』も標準車『ムーヴ』と同様に大幅なマイナーチェンジを受けた。内外装のデザインを変更したのを始め、イーステクノロジーの進化で燃費を向上させ、足回りの改良で操縦安定性を高め、軽自動車初の自動ブレーキを低価格で設定するなどの改良が行われた。
ムーヴカスタムで新旧の外観デザインを比べると、空力特性やエンジンルーム内の空気の流れに配慮したというフロント回りのデザインはかなり変わった印象がある。LEDの数を増やしたテールランプなども新鮮な印象を与える。
センターメーターを廃止して一般的な運転席前メーターを採用したインテリアと合わせ、普通ならマイナーチェンジでは行われないレベルの変更だ。センターメーターには長所と短所があって、単純にどちらが良いとはいえないが、通常の運転席前に変更されたのでデザイン的な特徴が薄れた感じがある。
カスタムの搭載エンジンは自然吸気仕様のほかにターボ仕様の設定もあるが、今回のパワートレーンの改良は自然吸気仕様エンジンの燃費向上を中心にしたもの。ターボと合わせ、動力性能については基本的にこれまでのモデルと変わらない。
ターボ車RSの元気の良さは相変わらずで、軽自動車のボディに対して余裕十分。むしろ過剰といえるくらいの性能である。ターボによるトルクの余裕が大きいことが、自在の走りにつながっている。
RSにはスポーツサスペンションと15インチタイヤが装着されていて、やや硬めでよりしっかりした乗り味を感じさせる。ターボ車以外もこれくらいの硬さでちょうど良いようにも思うが、15インチタイヤを装着すると最小回転半径がやや大きくなるのは難点。単純にお勧めできない面ある。
高速走行時にレーンチェンジしたときの安定感も格段に良くなった。高速道路を走ることが多いユーザーにはRSがお勧めだ。
残念なのはターボ車にはスマートアシスト(SA)の設定がないこと。自動ブレーキ用センサーの装着位置が、インタークーラーの空気取り入れ口と重なるため、両方を同時に設定できなかったのだ。
RSにもVSCなどはオプションで装着できるのだが、魅力の装備であるSAが付かないことを考えると、ターボ車の選択はやや微妙なものになる。欲しいなら次のフルモデルチェンジのときまで待つしかない。
自然吸気エンジンを搭載したXリミテッドは、RSに比べるとやや柔らかめ。でも従来のモデルに比べると格段に安定感の高まった足回りが採用されている。差別化された外観デザインを含め、ムーヴカスタムの「Xリミテッド“SA”」を選択する意味は十分にある。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★