【ホンダ マイクロコミューター 試乗】安定した走りと実用性で一定の存在意義…松下宏

試乗記 国産車
ホンダ マイクロコミューター・コンセプト
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国土交通省が新しいカテゴリーの乗り物として考えている超小型モビリティの認定制度が2013年2月1日からスタートした。

超小型モビリティについてはかねて導入促進を図る意向が表明されていたので、自動車メーカー各社はこれに対応したクルマ作りを始めている。

ホンダは一昨年の東京モーターショーでプロトタイプ車を発表し、その後も開発を進めている。そのマイクロコミューター・プロトタイプに試乗したので報告しておきたい。

ホンダのマイクロコミューターは全長2500mm×全幅1250mmという超小型サイズの中に、ドライバー1人のほか、後席に子供2人が座れるスペースを確保するパッケージを提案している。これは若い母親の使い勝手をイメージしたものということだった。

自転車に乗ったお母さんが、前後に子供を乗せているシーンは良く見かけるが、こうしたお母さんに乗ってもらうことを想定しているそうだ。

折しも、3人乗り自転車が転倒し、後席に乗っていた少女が投げ出されてトラックの下に転がったという事故があった。トラックの運転手は気付かずに発進したため少女は亡くなってしまったが、マイクロコミューターがあれば、こうした事故は防げたと思われる。

試乗車は屋根付き、ドア付きだったが、屋根開きやトラックタイプなども含めていろいろなボディが考えられるという。

前席は左右中央の位置にあり、運転席に座ると前にタブレット端末が置かれていて、これがメーターやナビの代わりを努めることになる。実際には、乗るときにドライバーがタブレット端末を持ち込む形になる。

最高出力15kWの電気モーターによって走るが、コンパクトで400kg以下と軽いボディなので、走りそのものはけっこう元気が良い。やや広めのトレッドを持つ分だけ操縦安定性も高いレベルにある。少々強めにハンドルを操作しても姿勢を乱すことなく安定した走りを見せたのが印象的だった。

電池はリチウムイオン電池が床下に搭載され、後部にモーターやコントローラーなどをコンパクトに搭載する。重量物が低い位置にあることで全体に安定した走りが得られているように思う。

価格は、一声60万円という感じで開発関係者と話をしたら、開発関係者は“それはちょっと”というような反応だった。高価なリチウムイオン電池を搭載するだけに、やや無理気味の要求だったようだ。

軽自動車の低価格モデルが80万円くらいからあるので、それより明確に安くすることが必要と考えたのだが、かなり厳しい提案と受け止められたらしい。

開発関係者の考えとしては、軽自動車の売れ筋価格帯は100万円くらいからなので、それから20万円安の80万円くらいをイメージしていたような雰囲気だった。

いずれにしても超小型モビリティは関連する制度がまだ確定していない。それによって保有コストがどうなるかが売れ行きに大きく影響する。軽自動車よりも保有コストが安ければ超小型モビリティは少々高くても良く売れる可能性がある。

現に、コンパクトカー並み以上の価格を付けた軽自動車が良く売れているのは、大ざっぱに言って3年で30万円以上の保有コストの違いがあるからだ。

マイクロコミューターに一定の存在意義があることは確かで、自動車メーカーは既にそれに対応するクルマ作りを整えている。うまく普及するような仕組み作りが望まれる。

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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