1970年代中盤のスーパーカーブームにどっぷりとつかった私にとって、ランボルギーニというビッグネームは何物にも代えがたい存在だ。この仕事をするようになってからも、その気持ちは変わることなく、ランボルギーニという名前を聞いただけで浮き足立ってしまう。
さて、今回試乗することになったランボルギーニは、『ガヤルド』の「LP560-4スパイダー」。ガヤルドはV10エンジンを積み、標準的なヒンジドアを持つモデルでいわゆるベビーランボと言われるモデル。デビューから10年になろうとしているが、存在感の高さは薄れていない。試乗車は最新型で、昨年モデルにくらべてエンジンの最高出力が40馬力アップされている。
もちろんコクピットはタイトで、乗り降りもけっこうつらい。でもそれはランボルギーニなら当たり前のことで、気にしてはいけない。
エンジンを始動しステアリングコラム右側のシフトレバーを引くと、ギヤが1速にシフトされる。あとはアクセルを踏んでいけば、自動的にクラッチがつながり発進できる。この一連の作業はじつにイージー。低い目線とともに限られた視界が、若干運転を難しくしているが、それ以外はとくに難しいことはない。
ものすごくトルク感にあふれるエンジンだけに1速のままで何かをしようという気には到底なれない。パドルを引き2速、3速とシフトアップ、そこから一気にアクセルペダルを踏み込んだ。560馬力のエンジンが吠えると同時に、怒濤の加速が始まる。まさに異次元を体験できる瞬間だ。
最新型はシフトスピードが40%向上されているとのことなので、アップダウンを繰り返して見る。たしかに以前のモデルと比べて、スパッスパッと切り替わっていく。なによりも気持ちのいいのは、シフトダウン。エンジンの回転数を合わせるために、クルマ側が自動でブリッピングを行うのだが、そのときのエンジン音とピシッと決まるシフトダウンはなんともいえない。
素晴らしい性能の2ペダルMTはATモードも備えているが、これはけっこう残念なフィーリング。自動変速のタイミングがどうしてもしっくりこない。まあ、クラッチペダルがないのだから、自分でシフトすることを基本にするべきクルマなのだろう。ちなみにガヤルドの2ペダル仕様にはセレクトレバーはない。バックするときはインパネ左側にある“R”のボタンを押すという方式だ。
価格は2700万円強。ふぅぅ、である。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。