【レクサス LS 試乗】顔つきは大きく変わったが滑らかな走りは変わらず…松下宏

試乗記 国産車
レクサス LS460L
  • レクサス LS460L
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レクサスのフラッグシップセダン『LS』は2006年9月の登場から6年後の2012年10月に大幅な改良を受けた。フルモデルチェンジされてもおかしくない時期だが、熟成を進めることを目的にあえてマイナーチェンジとされた。

マイナーとはいえ変更幅はかなり大幅なもので、外観デザインをスピンドルグリルに変更したほか、インパネの形状も変更するなど、通常はフルモデルチェンジでなければ実施されないような大がかりな変更を受けている。

スピンドルグリルばかりが注目されがちだが、インテリアも大型ディスプレイやリモートタッチが採用され、デザインだけでなく操作系にも変更が加えられた。

逆にパワートレーンに関しては、基本的には変更を受けていない。LSのガソリン車はエコカー減税の対象になっていないので、このあたりは物足りなさを感じる。

LSと競合するヨーロッパの高級車が、ダウンサイジングターボに加えてアイドリングストップ機構やエネルギー回生システムの採用などによって、動力性能と燃費を向上させていることを考えると、LSのガソリン車にはもうひと頑張りが欲しい。

新しいLSで特に大きく進化したのはボディの骨格や足回り。新しい溶接方法など、生産技術の進化を取り入れてボディ剛性の向上を図り、可変ギアレシオステアリングの改良と合わせて操縦安定性を向上させている。

試乗したガソリン車はLS460Lエグゼクティブパッケージ。車両重量が2トンを軽く超える超重量級のモデルながら、V8エンジンが発生する動力性能はボディに対して十分といった印象。スムーズな走り出しから力強く加速に乗っていく。走行中の静かさはレクサスならではのレベルにある。

8速ATの変速フィールは滑らかそのもので、いつ何速に入ったのか分からないような変速を示す。気持ちとしては何速のギアに入っているかを知りたいが、実際にはそんなことを気にせずに静かにスムーズに走れる方が良い。

ただ、ロングボディの「LS460L」は重量の重さややホイールベースの長さから、運動性能の面ではやや鈍くなるのが避けられない。LSで良いのは標準ボディのLS460の方だと思う。

今回の改良で、LSならではのおもてなしが一段と高いレベルに達した。特にインテリア回りの仕様にそれが見てとれる。

アドバンスド・イルミネーション・システムなどはおもてなしの典型的な表現で、乗降時やエンジンの始動・停止時など、シチュエーションに応じてすべてのイルミネーションの点灯・消灯・明るさなどをトータルコーディネートする。

インスト中央にはGPSによる補正機能を備えたアナログ時計が配置され、高級感ある雰囲気を盛り上げている。

試乗車は本体価格が1260万円で、これに加えて100万円を超える価格のプリクラッシュ・セーフティシステムなどがオプション装着され、車両価格の総額は1400万円を超えていた。オーナーが後席に座るクルマとして考えても相当な高額車である。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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