先に開催されたホンダミーティング2012で、アース・ドリームス・テクノロジーと称する一連のパワートレーン搭載車に試乗した。注目される期待の新技術がいろいろあったが、その中に小型ディーゼルがあった。
i-DTECと呼ぶ新世代のディーゼルエンジン技術を採用した1.6リッター級の小型ディーゼルで、当然ながらコモンレール直噴ターボの技術を採用する。欧州向けのシビッククーペにこのディーゼルエンジンを搭載したモデルに試乗した。
エンジンを始動すると、ガソリン車とは違うエンジン音がわずかに聞こえる。車外でクルマの近くにいたらもう少し大きなエンジン音が聞こえるのだろうが、車内にいると気にならないレベルだ。
アクセルを踏み込んで走り出すと、えっ?と思うくらいだった。吹き上がりがスムーズで、タコメーターの針の動きはガソリン車と変わらないものだったからだ。
ディーゼルエンジンなので回転数の上限は抑えられているが、その分だけそこに到達するまでの時間が早い。当然ながらパワーの盛り上がりも気持ち良いものとなる。
ホンダのディーゼルはその昔、2.2リッターの試作エンジンに試乗したころから、吹き上がりのスムーズさが大きな特徴であると感じていた。
ボッシュが日本に輸入したホンダの欧州仕様ディーゼル車に試乗すると、実際の市販車ではそれがやや抑えられていたものの、ほかのメーカーのディーゼル車に比べると吹き上がりの良さははっきりしていた。今回のi-DTECは改めてホンダのディーゼルを感じさせるものだった。
このディーゼルはいろいろな新技術を導入することで、ガソリン車並みの低フリクションとクラスでも最軽量の重量を実現したという。それが吹き上がりのスムーズさや騒音レベルの低さにつながっているのだと思う。
現状ではユーロ5対応とのことで、日本のポスト新長期規制には適合できていないとのことだが、当然ながらポスト新長期に匹敵するユーロ6を視野に入れた開発が進められている。ホンダがその気になれば日本にも導入できないわけではない。
シビック自体が日本で販売されていないので、何に搭載するかという話にもなるが、日本でもディーゼル車の市場が拡大しつつあるだけに、期待の持たれるエンジンである。