メガウェブで開催されたトヨタの環境技術発表会で、間もなくリースが開始されるiQベースの電気自動車『eQ』が公開され、ライドワンで短時間の乗車体験をした。トヨタは環境技術の中心にハイブリッド(HV)を置いている。HV技術の中にはEVやプラグインハイブリッド(PHV)の技術も含まれるので、これらも並行して開発を進めるが、純EVに大きなウエイトをかけていない。純EVは近場の街中でシティコミューターとしての使われ方を想定し、距離を走るシーンではPHVを想定している。これはリーフ1台で間に合うとする日産とは、考え方に違いがあり、多くのヨーロッパメーカーなどと同じ考えである。そんな中でトヨタが新しく投入する新型EVがeQで、iQのボディの床下に12kW/hのリチウムイオン電池を搭載し、航続距離100km、最高速度125km/h、世界最高の104Wh/kmという電費を実現するという。充電時間は短く、AC100Vで8時間、AC200Vなら3時間で満充電にできる。DCの急速充電なら15分で80パーセントまで充電できるとのことだが、それを必要としないくらいの充電時間の短さで、家庭や出先で気軽に充電できるのが長所である。eQを走らせてみると、小さくて軽いiQのボディをベースにしているだけに、スムーズに走り出し、滑らかに加速に乗っていく。静かさや滑らかさ、走行中の排出ガスゼロというEVの良さが端的に表れている感じだ。世界最高電費も、ボディの軽さが貢献している。EVとしての性能でいえば、リーフに及ばない部分が多いものの、もとよりそれをねらって作られたクルマではない。街乗り用EVとして良くできたクルマといえる。乗り心地はちょっと硬めだが、元々iQもそう乗り心地の良いクルマではなかったから、iQと比べたら特に悪くはないという印象になると思う。今回の発表では、2012年12月以降に限定的にリースするとされており、トヨタは本気でeQを普及させることまでは考えていない。カリフォルニアでは一定の台数のゼロエミッション車を販売することが条件となるので、各社ともEVを開発・販売せざるを得ないが、トヨタはアメリカではともかく、日本ではeQを積極的に販売する姿勢ではないようだ。価格の問題があるから単純ではないが、PHVがあればEVの性能の大半をカバーできるので、純EVは限定的なものとし、PHVの販売に力を入れたいということだろう。eQは純EVとして良くできたクルマだが、将来に大きな期待を持たせるクルマでもない。これはeQが、というよりも純EVがということだ。■5つ星評価パッケージング:★★★インテリア/居住性:★★パワーソース:★★★フットワーク:★★★オススメ度:★★松下宏|自動車評論家1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。
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