元ワールドチャンピオンのデイモン・ヒルは、マクラーレンのルイス・ハミルトンの待遇を考えると移籍の決断は理解できると語った。先週末、ハミルトンは10代のカート時代に自らを見出したマクラーレンとの契約終了と、メルセデスAMG移籍を表明したばかり。
最近のマクラーレンは、明らかに戦闘力でメルセデスAMGを上回っているが、ハミルトンと所属チームの間では様々な問題が持ち上がっていたとヒルは語る。
「ルイスの扱いはまるでかごの鳥だった。私生活の自由も極めて厳格に制限されてきた。彼がどこか別の世界へ出て行こうとしたとしても、責めることはできないよ。マクラーレンを出ない限り、彼は自由に羽ばたくことすらできなかったんだから」
この夏ハミルトンは、「マクラーレンがドライバーのトロフィーを取り上げてしまうことが交渉の中心だ」と語ったことがあるが、ヒルはこの主張を理解できると言う。
「チームがドライバーのトロフィーを取り上げるなんて、そんな理屈は僕にも理解できないよ。これはトロフィーそのものの価値よりも、原理原則の問題だ。チームの意のままに輪くぐりをさせられたドライバーがようやくタイトル手に入れた後、ふと考え込む瞬間が来るんだ。『これが自分の人生なのか?』と。水族館のアシカみたいな生き方が嫌になるときが……ね」
「レーシングキャリアをずっと誰かの監督下に置かれるのは誰だって嫌だ。それでもコクピットの中で戦う仕事は続くけど、高いモチベーションが続かない。ルイスはこういう状況を自ら打破しようとしたんだろうね」