8月12日、千葉県市原市にある新東京サーキットで「グッドスマイルレーシング カートグランプリ」が開催された。同イベントには、ゲストとしてF1ドライバーの小林可夢偉(ザウバー)が登場、本誌のインタビューに応じた。
現在、日本人唯一のF1ドライバーである小林可夢偉。今後日本人がF1のトップドライバーとして活躍するためには何が必要なのか、また、ドライバー育成がどうあるべきか、可夢偉本人に聞いてみた。
----:可夢偉選手はカート出身でF1ドライバーまで登り詰めて来られました。今後第2、第3の"小林可夢偉"が登場するために必要なことは何でしょうか。
可夢偉:それは難しい質問ですね。もちろん速い子が必要ですし、企業もしっかりとサポートしなくてはならないということは言えます。でもF1ってとても難しいんですよね、運も必要だしサポートも無くてはいけないし。なかなか「コレが必要」というものが1つあるわけではなく、すべてタイミングによるものだとも言えます。ただ、いつ速い子が出てきても良いように、モータースポーツが常に盛り上がっていないといけないし、そうした子の力を引き出すために早いうちから海外に送って海外で結果を出せるような状況がなければならないと思います。
----:なるほど。
小林:やはり日本って自動車大国じゃないですか。自動車大国でありながらドライバーがダメっていうのはとても残念。そう言われないためにもまずは僕ががんばります。そして、これからどんどん速い子が出てきてもらいたい。
----:可夢偉選手の場合、トヨタのサポートプログラムを受けることで早くから海外への道が開けました。そうした企業のサポートについてはどのようにお考えですか。
小林:もちろん、そうしたサポートはあった方が良いと思います。というより無いと困る。むしろ、無い方がおかしいと思います。(そうしたサポートが)無いということは、最終的に、自動車メーカーがドライバーを育てないで誰が一般の自動車を育てるのか、誰が開発して誰が評価するのかという話になってきます。今はそうしたサポートプログラムも比較的充実しているとは思いますが、このままではもしかしたら50年後のクルマがおかしなことになっているかもしれない。50年後の話なんて関係ないと言ってしまえばそれまでですが、そういったことも含めて、クルマの開発と同じように、ドライバーの育成も必要なんだと僕は思っています。
----:それはレーシングカーだけでなく、一般の人が乗るようなクルマに対しても同じことが言えますね。
小林:もちろんです。良いクルマを作らないとクルマは売れない。そのために(開発段階で)誰がクルマを評価するのかと言ったら、それはわれわれのようなプロドライバーなのだと思います。
----:ありがとうございました。