気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2012年3月16日付
●自工会長に豊田氏内定(読売・10面)
●NEC赤字で賃下げ案(読売・10面)
●米韓FTA日本ハンデ戦、車・電機韓国勢に恩恵(読売・11面)
●天然ガス車「商機あり」、米自動車大手続々と投入(朝日・11面)
●株高、円安進む、米景気期待、欧州危機が一服(毎日・2面)
●タイ工場 再起へ自動車生産、洪水影響克服、エコカー優遇に狙い(毎日・7面)
●スズキ4万台リコール(毎日・30面)
●新車、補助金追い風、国内需要、12年度1.9%増見通し、下期販売には不透明感(日経・9面)
●マツダSUV「CX-5」1カ月で受注8000台、低公害ディーゼルが7割(日経・11面)
●三菱自動車、韓国に再参入、小型SUV今年1000台販売目標(日経・11面)
ひとくちコメント
韓国が昨夏の欧州連合(EU)に続き、米国との自由貿易協定(FTA)を発効させた。欧米への輸出で競合する日本企業は関税の格差を背景に不利な戦いを強いられることになりそうだ。
韓国と米国とのFTAでは5年以内に工業製品や消費財の95%で関税が撤廃されるほか、現行税率2.5%の韓国製自動車への関税も5年間維持後に撤廃される。自動車や部品などを中心とする韓国の輸出企業の競争力が一段と強まる見込みだ。
きょうの各紙が報じているが、このうち、読売は「米韓FTA日本ハンデ戦、車・電機韓国勢に恩恵」と経済面で伝えているほか、社説のテーマでも取り上げている。
それによると、EUと米国の「2つの巨大市場との貿易拡大が、韓国経済にもたらす恩恵は大きい」として「出遅れた日本は、環太平洋経済連携協定(TPP)に早期に参加し、巻き返しを図るべきだ」と主張している。
さらに、「自動車市場の開放がとくに注目される」としながら「韓国車は品質とデザインで日本車に迫り、米国で販売が伸びている。日本車に比べ、価格面での競争が有利になることで、販売に弾みがつく可能性がある」と指摘。日経も「米国市場で日本は韓国の後塵を拝する恐れがある」とみている。
日本勢も手をこまねいているばかりではない。トヨタ自動車は米国工場で生産した乗用車『カムリ』を韓国に輸出を開始。三菱自動車なども米国工場からSUVの供給も検討中という。FTAを逆手にとる戦略だが、焼け石に水なにならないためにも、国としての明確な対応が迫られている。