市販を前提に日産自動車が第42回東京モーターショーに出品する『NV350キャラバン』のデザインは、現行キャラバンの反省点からスタートしている。
「従来型のホイールベースは短くて、視覚的な重心が高かったことから、もう少し安定感のあるフォルムにしようと考えました」とはデザイン本部プロダクトデザイン部プロダクトチーフデザイナーの倉岡享一さん。
そこで設計部門に依頼し、ホイールベースは伸ばし、その分フロントノーズを短くした。それは4ナンバーサイズを守ることでもあった。また、「サイドビューで見たとき、現行車のフロントノーズは少し飛び出た感じになっており、すっきりしない印象だったので、プロポーションを修正し、クリーンでモダンなフォルムにしました」。
同時にサイドのデザインでは、「通常このようなタイプのクルマは前から後ろまでキャラクターラインをスパッと通して長く見せますが、今回は、キャラクターラインをリアとフロントと分けて、真ん中のBピラーあたりに広い面が残るような形のデザインにしています。割とクリーンでおおらかなデザインにしています。“すっきりクリーン”がポイントなのです」と笑う。
「ボディサイドのリアホイールアーチ上の、削ぎ面の下側の丸みなどもこだわりました。『ハイエース』のデザインは評判よく、またいいデザインなので、負けないようにしたいという社内的な合意がありましたので、若干お金をかけることが出来たのです」。
また、倉岡さんはNV200のデザインも担当した。「ニュアンスは違いますが、フロントからのキャラクターラインとリアからのキャラクターラインが交錯しながら、そして、真ん中に広い面を持たせるという考え方は踏襲しました」。
「10年以上ぶりのフルモデルチェンジ。その分新しくなったフレッシュなスタイルを見てほしいです。一番のアピールポイントはすっきりとしたボディサイド。ドリップチャンネルも無くしたので、それもサイドビューのすっきり感には効いていると思います」と自信をのぞかせた。