【池原照雄の単眼複眼】日産、「廉価」で普及狙う安全システム

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ペダル踏み間違い事故軽減技術(制動シーン)
  • ペダル踏み間違い事故軽減技術(制動シーン)
  • 日産自動車・福島正夫IT&ITS開発部エキスパートリーダー
  • アラウンドビューモニターで駐車枠を検知し、アクセルペダルを過度に操作しても加速を抑制するとともに、ソナーで壁などの障害物を検知して、障害物の手前でブレーキが作動する。
  • アラウンドビューモニターで駐車枠を検知し、アクセルペダルを過度に操作しても加速を抑制するとともに、ソナーで壁などの障害物を検知して、障害物の手前でブレーキが作動する。
  • カメラ右
  • カメラ左
  • フロントソナー
  • フロントカメラ
◆安くなった電子デバイスを生かす

日産自動車が普及に重点を置いた廉価な安全システムの開発を強化している。車載カメラや超音波ソナーでドライバーの誤認や運転席からの死角をカバーし、事故を減らそうというもので、このほど報道陣に公開した。2012年以降、順次実用化する。価格は3万円程度とすることで普及を促進し、事故の抑制につなげていく。

車載安全システムは、かつては高価だったカメラやECUといった電子デバイスの値下がりで、より身近な存在となりつつある。富士重工業が2010年に実用化したプリクラッシュセーフティの「アイサイト」(バージョン2)は、オプション設定車種『レガシィ』での装着率が約8割と、同社の想定を上回る人気となった。

30km/h以下の走行だと、ドライバーがうっかりブレーキを踏み忘れても前方の障害物に衝突しないという分かりやすさに加え、価格が10万円という手頃さが受けている。

こうした事例も踏まえ、日産は「普及させるには安価にすることであり、それが事故防止に貢献する道」(福島正夫IT&ITS開発部エキスパートリーダー)と、これまでの技術をベースに「コスト」を強く意識した技術開発を加速させている。


◆「アラウンドビュー」でペダル踏み違い事故を防ぐ

今回公開した技術のひとつに、ペダルの踏み違いによる事故を防ぐ装置がある。このシステムは、4台の車載カメラで車両の全周囲をモニター上に表示し、死角部分をなくす同社の「アラウンドビューモニター」をベースにしている。

車載カメラがクルマの前後方に障害物があるか、駐車枠に入ろうとしているかなどを認識し、障害物があるなどと認識した場合は、アクセルを踏み込んでも加速を抑制する。同時にディスプレイへの表示や警告音で注意を促す。

さらに、障害物に接近した時は超音波ソナーで検知し、自動ブレーキを作動させてクルマが接触するのを防ぐ。このシステムは2年以内の実用化を目指している。福島氏は、ごく小型のモニターを採用した場合、価格は3万円程度でも可能と見ている。

駐車場内などでアクセルをブレーキと勘違いして踏み、暴走する事故は国内で年間7000件程度発生し、死傷者は約1万人に及ぶ。運転免許を取得したばかりの人や高齢者が、この事故を起こしやすい。とくに高齢化が進む日本で事故抑制に貢献できる装置となろう。


◆リヤカメラ1台で死角車両などを検知

カメラを使った安価なシステムとしては、車両のリヤカメラ1台で死角位置にいる車両や車線逸脱などの検知を行う「マルチセンシングシステム」の開発も進めている。

こちらも「アラウンドビューモニター」で培った画像処理技術を応用、後方および側方のクルマや人、道路などを検知し、警告音やフロントピラーに設置した表示灯でドライバーに注意を促す。高速道路で車線変更する際など、ミラーに映らない死角に車両が接近していてヒヤリとすることがあるが、そうしたケースで警告が発せられる。

このシステムは警告音や表示のみで、自動ブレーキやアクセルなどの制御は行わない。その分、3万円程度ですでに販売している「バックビューモニター」に若干の上乗せをした価格で販売できると見込んでいる。国内で12年に発売する新型車に採用する一方、海外向けにも導入する計画であり、普及重視の安全システムの展開を急ぐ。
《池原照雄》

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