【NAVITIME ドライブサポーター インタビュー】究極のパーソナルナビに向けた第一歩

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ナビタイムジャパン 開発本部 サービス企画統括部 企画部 部長 萩野良尚氏
  • ナビタイムジャパン 開発本部 サービス企画統括部 企画部 部長 萩野良尚氏
  • NAVITIME ドライブサポーター ルートの検索は3〜4種類が同時検索され、比較して決めることができる。所要時間、距離、さらに愛車を登録しておけば必要なガソリン量まで表示される。
  • NAVITIME ドライブサポーター
  • NAVITIME ドライブサポーター  ガイド中の画面。地図は比較的に見栄えがよく、通信でダウンロードするタイプにありがちなスカスカ感は少ない。
  • 駐車場検索の画面。それぞれのボタンをタップして緑色にすることで、複数条件による検索ができる。
  • ナビタイムジャパン 開発本部 サービス企画統括部 企画部 部長 萩野良尚氏
  • NAVITIME ドライブサポーター
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【NAVITIME ドライブサポーター インタビュー】究極のパーソナルナビに向けた第一歩

ナビタイムジャパンは、7月22日にiPhone向けナビアプリ「NAVITIME ドライブサポーター」、ケータイ向けアプリ「EZ助手席ナビ」「au one助手席ナビ」をアップデートし、新たに『ガソリン節約ルート』機能を追加した。また、7月14日にはiPhone向けに『自転車NAVITIME』もリリース。

今回は、それらのナビアプリサービスの企画面を統括した企画部部長の萩野良尚氏に、サービスの特徴や今後の展望を聞いた。


◆高騰するガソリン価格を背景に、実生活に沿ったサービスを

----:今回、ドライブサポーターに「ガソリン節約ルート検索」が追加されましたが、導入の経緯を教えてください。

萩野:省燃費ルートについての検討は昔から重ねており、アルゴリズムも最適化できたので、リリースは夏休みの行楽シーズンのタイミングとなりました。ネーミングの話から先にしますと、最初は『エコルート』と呼んでいたのです。ですが、企画のメンバーから「エコルートだと実際にユーザーが見たとき、何がエコだかわからないのでは?」という意見が出ました。そこで名称を『ガソリン節約』とし、サービス内容をわかりやすくしました。

----:ガソリンの価格にこだわった理由は何かあるのですか?

萩野:ガソリンの値段が上がり、ETC割引の高速1000円も終わってしまった状況で、遠出するのに費用がどれだけかかるか把握できる方がユーザーには便利だろうという考えからです。CO2の排出量を削減する“エコロジー”の側面だけでなく、実生活の面でも無駄な支出を減らすという“エコノミー”にも配慮しました。

----:実際にガソリン節約ルート検索をしましたが、クルマの型式ごとに燃料消費予測と平均燃費が出ます。しかも別ルートにするたびに違う数字が出ます。ここまできめ細かい計算にしようとした背景を教えてください。

萩野:ガソリン消費量をどれだけ正確に推定できるのかと検討を重ねてきたとき、やはり車種ごとにデータを変えた方がよいという結論になりました。車両型式ごとの燃費データと道路状況に応じた走行速度から、ガソリン消費量を推定しています。

----:経路検索での特徴はありますか?

萩野:燃料消費量だけを追求するあまり、所要時間がかかりすぎたり、有料道路の料金が高くなりすぎては本末転倒です。時間面でも料金面でもバランスを取りつつ、燃料消費の少ない経路を出すようにチューニングしています。

----:長距離の経路では、手前のICで降ろすこともあるようですね。

萩野:距離を短く、走りやすいスピードでいけるなどのバランスを取った結果です。遠回りして高速に乗り続けるより、一歩手前で降りて直線的な道をゆく経路が比較的出やすくなっています。


◆アプリビジネスのマネタイズの難しさ

----:スマートフォンでのアプリビジネスはなかなか成功しないというのを、いろいろなところで耳にします。御社の状況と見通しはいかがでしょうか。

萩野:ドコモでSPモードを使ったキャリア課金が今年の3月に始まりました。するとスマートフォンでも、フィーチャーフォン時代のいわゆる月額課金に抵抗がないユーザーがいることがわかりました。ですから、ドコモマーケットの利用がもっと増えれば、フィーチャーフォンからスマートフォンに移行されるお客さまの取り込みもスムーズにいくと見ています。

----:iPhone向け『ドライブサポーター』の180日間1500円は、月で割れば300円を切る価格となりかなり魅力的な料金設定ですが、ユーザーの反応はいかがでしょうか。

萩野:値段自体にハードルを感じているユーザーが多いようです。1000円を超えるとハードルが高いと言われています。そこで、低単価で試してみたいというユーザーのために、1週間、1か月、3か月単位の新コースを8月11日から提供しています。


◆社内の自転車乗りの意見を集めて機能を企画

----:先だって『自転車NAVITIME』をリリースしましたが、機能の特徴は。

萩野:ひとつはドーナツサーチという機能を用意したことです。これは自転車のユーザーは、クルマと違って「○○まで行きたい」だけではなく「今日は○Kmくらいの距離を走りたい」と思う傾向があることから生まれた機能です。たとえば「今日は4km~5kmくらい走って、公園でのんびりしよう」という時に、ドーナツサーチで距離を設定し、「公園」と場所を設定します。そうすると、その検索範囲のおすすめの公園を表示します。真ん中をくりぬいたドーナツ形にサーチを行う機能です。

----:それはユーザーから上がってきた要望でしょうか。

萩野:社内からの要望です。社内で自転車好きを集めて何度もアンケートをしました。

----:照度センサーを利用してディスプレイの点灯・消灯をコントロールするポケットモードもそうやって生まれたのですか?

萩野:自転車には電源がありませんから、ナビゲーションを提供する場合には電力の問題が常につきまといます。そこは当然アプリケーションレベルでも、できるだけ省電力にしました。さらなる省電力化を検討した際に、走行中スマートフォンはどこに置いているかを考えました。クレードルで自転車に取りつけている方もいますが、お持ちでない方はポケットに入れるのではないか。では、ポケット内では画面を消して省電力モードにし、ポケットから出すとすぐナビゲーションに戻るように、としたのがポケットモードです。


◆スマートフォン・ユーザーはレスポンスが早くシビア

----:自転車NAVITIMEのリリースから半月あまりが経過しましたが、ユーザーの反応はいかがでしょう?

萩野:わたしたちも驚くほど大きな反響です。最初は自転車を始めたばかりのライトユーザーを対象と考えていましたが、リリース後の反響はコアユーザーから発信されました。長距離走るような本格的なユーザーからTwitter上でもたくさんのツイートいただきました。

----:スマートフォンと従来の携帯ユーザーとの違いをどう捉えていますか。

萩野:スマートフォンのユーザーはかなりシビアな目を持っています。ボタンの配置が悪くて使いづらいと、すぐにレビューなどに反映されます。また、起動や反応といったパフォーマンスが遅くても同様です。そのかわりに良いアプリを出したときは、喜んでいただいている反応がすぐにわかりますから開発陣としても励みになりますね。

----:シビアですね。レスポンスはどんな感じですか。

萩野:ユーザーの反応は早いですね。それによってアプリのダウンロード数や課金の会員登録数がかなり左右されます。Twitterなどでは、今回みたいなバージョンアップがあるとツイートされて、一気にクチコミで評判が広がります。それもスマートフォンの良さであり、反面我々としては怖い部分でもあります。


◆ナビゲーションの先にマネタイズがある

----:自転車NAVITIMEは買い切り方式で350円ですけれど、ドライブサポーターと料金体系を差別化した理由は。

萩野:まず広く使ってもらいたいという想いがあります。我々は自転車NAVITIMEをナビゲーションだけで終わらせるつもりはありません。付加価値をどんどん追加していき、そこで何らかしらかのサービスができないかと考えています。まずは、価格をお手頃にして裾野を広げダウンロードを増やしたいと考えています。

----:『ドライブサポーター』の未来像は、どのようなものを考えているのでしょう。

萩野:簡単に言うと、理想は「利用者ひとりひとりにパーソナライズされた経路検索」ができればいいと思っています。使いやすいルートは人それぞれに違います。裏道の好きな人もいれば、運転が苦手なので広い道を通る人もいる。そういう個人のニーズにあった経路を出してあげるのが究極のナビと考えています。パーソナライズされた経路を出すというのは、非常に高度な技術力とログデータの蓄積が必要ですが、さまざまなデバイスや用途にナビゲーションを提供している当社であれば、実現は可能です。他社では追従できないところにユーザーは価値を認めてお金を払っていただけるのかなと思います。重要なのは、ユーザーに価値を認めていただけることです。


◆震災への対応で社内の考えが大きく変化した

----:今回、震災に対応したことは何かありますか?

萩野 ありましたね。震災後すぐに有志による震災対応の検討会を発足させました。震災時は自宅まで歩いて帰るユーザーが多かったので、当初設けていた徒歩経路の10kmまでの距離制限を解除したり、交通機関のダイヤ乱れに対応し、有料だった鉄道運行情報を無料にしたりするなどの対応を震災の2日後に行いました。

----:ずいぶん早い対応ですね。

萩野:あの時はいろいろなサービスが短いスパンでできました。何か大きな目的や意思があれば、早くサービスを提供できるとみんなわかりました。ですからサービスに対して、開発者に明確な目的を意識させるのが大切だと実感しました。

----:スタッフ全体でのマインドの変化もありましたか?

萩野:震災後は自分たちのサービスがユーザーにとってどう役に立っているか? 原点に立ち返って開発するようになった気がします。それが弊社にとっての成長ですし、今後はもっと良いサービスを通じてそれを社会に還元できるように進めていきたいと思います。

《聞き手 北島友和》
《鈴木ケンイチ》

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