キャデラックに限らず、プレミアムブランドにはラグジュアリーなクーペモデルのラインナップは必須条件ともいえるもの。2008年までは上級モデルの『XLR』がラインナップされていたが、それがなくなった今、『CTSクーペ』がキャデラックブランドを象徴する存在だ。
デザインは見るからにキャデラック。大きな格子状のフロントグリルの中央にキャデラックのエンブレムが配置される。アート&サイエンスのデザインコンセプトに基づくエッジの効いたシャープな外観デザインは、すっかりおなじみになったものだ。
大きなドアを開けて乗り込むと、室内にはラグジュアリーな空間が広がる。本革シートや木目パネルなど、自然素材を使った仕立ての良さを感じさせる室内だ。運転席の広さはゆったりした感じがある。大柄なボディの割には2+2の後席は広いとはいえないが、このクルマで後席をうんぬんするのは野暮というものだ。
搭載される直噴仕様のV型6気筒3.6リットルエンジンは6速ATとの組み合わせによって気持ち良い加速を示す。馬力換算では300psを超える229kWの動力性能は、大柄なキャデラックのボディに対しても十分な余裕がある。走りのフィールはラグジュアリーというよりもむしろスポーティなイメージで、パドルを操作して積極的なマニュアル車感覚の走りを楽しむことも可能だ。
足回りもアメリカ車のやわらかな乗り心地とは違ってしっかりした感じの硬めの乗り味。前後異サイズの19インチタイヤを履くのだから、硬めの乗り味も当然といえる。
HDDナビゲーションを始め、BOSEの5.1chサラウンド・サウンド・システム、レザーパワーシートなどのラグジュアリーな装備と、スタビリトラックなどの充実した安全装備が用意される。ただ、左ハンドル車のみの設定だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。