日産自動車が昨年12月にリリースした量産型EV『リーフ』。その市販モデルのマスメディア向け試乗会が横浜の同社グローバル本社で行われた。市販モデルはプロトタイプに比べ、さらに熟成が図られたという。三浦半島界隈を中心に100km弱を走り、仕上がりをチェックしてみた。
「走行フィーリングは普通のクルマから乗り換えても違和感がないようなセッティングにした」(日産関係者)というリーフだが、車内のデザインのコンセプトはそれとは真逆だったという。内装設計の責任者を務めた日産PV第一製品開発本部の吉沢章一氏は「すべてにおいてEVらしいクルマに仕立てるようにというのが、首脳陣からの至上命令でした」と語る。
「普通でないモノを考えるだけなら、そう難しくはありません。しかし、EVは公道を走る普通のクルマ。突拍子もないことなどできません。突飛でなく、しかもEVとしてこれまでにないデザインを考案するのは思った以上に大変なことでした」(吉沢氏)
EVらしさを感じさせられる第一のポイントはインパネに配置された上下2段式の「ツインデジタルメーター」だろう。上段の主役はスピードメーターと、エコドライブの積み重ねを樹木の成長でグラフィカルに表すエコツリー。実際にスロットルをあまり踏み込まない運転をすると、木々がみるみる成長し、急激なスロットル操作をすると、とたんに成長しなくなる。
ステアリングの内側に表示される下段メーター内は、バッテリー残量、航続距離残、パワーの出方やエネルギー回生を表すゲージなど、エネルギー関連のものを主に表示している。日産本社を出るときには航続距離残が180kmと表示されていたが、ドライブモードをエコから通常にすると164kmに、エアコンをつけるとさらに減算されるなど、電力使用の状況によってちゃんと変化する。
バッテリーに充電可能な電気エネルギーの量は、エンジン車のタンクに詰められるガソリンや軽油に比べて格段に少ない。カーナビも含め、エネルギー管理に関するグラフィック表示をグラフィカルに、しかもユーザーにネガティブなイメージを与えないような形で行っているのも、EVらしさを感じさせられるところだった。