最近はアメリカ製のSUVを中心にしたラインナップを構成しているフォードだが、今回はヨーロッパ製のSUV『クーガ』を日本に導入した。フォードにとっては『エスケープ』と『エクスプローラー』の間を埋めるモデルになる。
ボディサイズはかなり大きい。全長はミディアムサイズだが、全幅が1800mmを超えているから相当に大きな印象になる。最近のヨーロッパ車はワイドボディ車が多く、考えさせられる部分がある。
運転席に乗り込むのは乗用車とそう変わらない。SUVといってもフォーカス系のプラットホームを採用するためだ。乗り込んだ後の操作系には大きな違いがある。エンジンスタートボタンがインパネ中央の上部に設けられているからだ。初めて乗ったので、ボタンを探すのにきょろきょろさせられた。
搭載エンジンはボルボ製の直列5気筒2.5リットルのDOHCターボで5速ATと組み合わされる。『V70』などに幅広く搭載されているエンジンで、これがフォードに供給される最後のボルボ製エンジンになるのかも知れない。
わずか1600回転から幅広い回転域で320Nmの太いトルクを発生するので、重量級のSUVボディでも余裕の走りを実現する。ターボの効き方も自然吸気エンジンのような滑らかさなので、とても扱いやすい印象だ。
駆動方式はハルデックス社製のインテリジェント4WDで、オンロードでの快適かつ安定性の高い走りを実現すると同時にオフロードでの走破性も確保している。足回りやステアリングの操舵感などは柔らかめの味付け。操舵に応じてそれなりにロールするものの安定感を損なうことなくコーナーを抜けていく。
安全装備の充実度の高さなどを考えると、価格的にも相当に割安な印象。ボディサイズが苦にならない人なら満足して乗れる。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。