アウディジャパンは11日、アウディ『A1』を日本でも発表した。このモデルはデザイン的な特徴が多くあるが、その中のひとつにボンネットのラップアラウンドデザインがある。
商品企画部の平野智さんはこれについて、「通常であればボンネットの開口部はフェンダーより内側に入り、ボンネットのエリアが狭くなりますが、それをあえてボディ形状に合わせ、車体側面のフェンダーまで持ってきています」という。その分割ラインはアウディデザインの大きな特徴であるトルネードラインの起点ともなっている。
また、このデザインは過去のモデルからのリスペクトだという。広報部長の小島誠さんは、「NSU『TT』のフロント周りが同じイメージです。コンセプトカー(2007年の東京モーターショーに出品された『A1コンセプトクワトロ』)が出たときには、デザイナーもプレゼンテーションで何度かそのことに触れました」という。
NSUは、1969年にVWグループに吸収されるまでは独立系のメーカーで、世界初のロータリーエンジン搭載市販車『ヴァンケルスパイダー』などを世に出したことで知られている。そしてTTは、1961年に発表された『プリンツ4』という600ccの3ボックスセダンをベースに、エンジンをチューンするなどスポーツモデルに仕上げたもので、当時のレースシーンにおいて大いに活躍したモデルだ。
このように過去のモデルのデザインモチーフを取り入れながらも「レトロには仕上げていません」と小島さんは語る。つまり、気付く人にはなるほどと思わせ、それを知らない人には新しく感じさせるのである。