『CT200h』はトヨタが来年早々にもレクサスブランドで新しく投入するハイブリッド車だ。ありていにいえば、『プリウス』のレクサス版がこのCT200hといえなくもないが、プロトタイプ車に試乗したら、プリウスとはかなり違ったクルマに仕上げられていた。
海外のモーターショーなどに出品されたので外観はすでに知られている。ボディは普通の5ドアハッチバックをイメージさせるもので、プリウスの5ドアとはかなり違いがある。
見るからにカッコ良いデザインという感じではないが、レクサスらしさが随所に表現されたデザインであるのは間違いない。またインテリア回りの質感は高く、このあたりもレクサスらしさを感じさせる。
プリウスが普通のクルマであるのに対し、レクサスCT200hはプレミアムかつスポーティなクルマに仕立てられている。インパネ内にタコメーターが設けられているのはその一例で、トヨタのハイブリッド車はタコメーターがないのが普通だから、これだけでも走り志向のクルマであるのが分かる。
1.8リットルエンジンと電気モーターを組み合わせたのはプリウスと同じで、車両重量はプリウスよりもやや重くなっているとはいえ、滑らかな加速感などはプリウスと変わらない。
ハイブリッド用の変速機にはパドルシフトが設けられて6速マニュアル車感覚の走りを楽しむこともできる。このあたりもプリウスとの違いが明確になる部分だ。
さらにいえば、足回りが大きく違う。かなり硬めでしっかりした乗り味は相当にスポーティな印象があり、ステアリング操作に対する応答性や回頭性の良さなどもレクサスCT200hならではの感覚がある。
CT200hにはFスポーツというグレードが設けられるほか、スポーツモードの設定があって、これを選択すると変速スケジュールが変わり、ステアリングもグンと重くなって操舵に対する応答性がさらに高まる。
エンジンが回ったときの透過音はそれなりに入ってきて、レクサスのハイブリッド車としてはもう少し静かな方が良いのではと思わせる部分もあった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。