日産自動車と三菱自動車工業は14日、両社が事業協力関係を拡大することに合意したと発表した。合意により、日本の軽自動車事業やグローバルな小型商用車事業をはじめとする、両社双方の事業競争力が高められることが期待できるとしている。
現在、日産自動車と三菱自動車は、日本市場において、軽自動車や小型商用車分野でOEM契約を結んでいるが、今後、従来のOEMの拡大に加えて、両社は更なるシナジー効果を生み出すビジネス機会を検討する。この新たな協力関係は、両社が既に締結している他のビジネスパートナーとの事業協力関係を補完するものとした。
OEMの拡大については、「日本市場向けに、日産の小型商用車を三菱自動車に供給すること」、「中東市場向けに、三菱のSUV(多目的スポーツ車)を日産に供給することと、さらに、日本市場向けに、日産の上級セダンを三菱自動車に供給することも検討する」について合意がされた。
OEM以外の分野では、「三菱自動車のタイ工場での日産『ナバラ』の生産 ならびに、将来的には両社の次期型1トンクラスピックアップ車の開発・生産協力」、「日本市場向けの軽自動車の商品企画、開発を行う50:50の合弁会社の設立」、2つのプロジェクトについて、検討を進めるとしている。
日産自動車のカルロスゴーン社長は、「今回の合意は、当社の新興国における拡大、海外の生産能力の確保、そして日本国内の軽自動車事業の拡大を支える上で、極めて重要なものである。三菱自動車との協力は、世界中で複数の企業とパートナーシップを築いてきたルノー・日産アライアンスが、常に進化し、各社のニーズと共通目標にもとづき、両社にメリットをもたらす新たなWIN-WIN の関係を実現し続けている証である」と述べた。
三菱自動車の益子修社長は、「経済や市場環境が大きく変化するなか、現在、当社ではPSAプジョー・シトロエン社との間でSUVや電気自動車の分野において事業提携を展開する一方、事業領域ごとに、最適な解決策を導く相手、協業内容を追求している。今回の日産自動車との事業協力の強化は、2003年から始めた軽自動車や商用車のOEM相互供給によって構築してきた良好なビジネス関係に基づくものである。OEM相互供給の拡大は、“地域性”“商品ラインアップ”を補完し合うものであり、一方、1トンピックアップ車と軽自動車に関するプロジェクトは、それぞれの事業競争力を高めるための、ベストソリューションと考えている」と述べた。