クルマとしての完成度についてアレコレ言うことは、日産にかえって失礼だと思う。だからここではハッキリ、こう申し上げたい。フツウのクルマだった、と。確かに、低重心がもたらすフラットで胸の空くコーナリングはこのテのカタチのクルマとして異例かもしれないが、騒ぐほどのもんじゃない。むしろ、タイヤの性能の方が気になってしまう。ニッチじゃないEVを広めるためにCセグの『リーフ』を作ったのだ。フツウでよし。自動車メーカーが作った、EV専用開発の車台を持つクルマなのだから、完成度は高くて当り前である(餅は餅屋ということ)。そして、フツウのクルマとしてみた場合に、ボクはそこにいささかの趣味性も見いだせなかったし、全く好きになれないカタチと相まって、Cセグメントを今買うなら堅実にVW『ゴルフ』を選んでしまうだろう。もしくは新しいアルファ『ジュリエッタ』(しっかり楽しい、いいクルマ。イタリアが作ったゴルフでした)。EV買おうにも、持ち家じゃないしね。そんなことよりも、大量生産EVが社会にもたらす変化と可能性の方にこそ注目したい。ここでは書き切れないけれど、ひとつだけ言っておきたいのは、プラグイン機能をもつEVもしくはPHVによって事実上、クルマは社会と初めて緊密に繋がるということ(そのこと自体が引き起こす自由やプライバシーの束縛はまた別問題として)。携帯電話やパソコン、高機能ビデオデッキのように。それによって、われわれの生活も劇的に変わる可能性を秘めている。アイデア次第である。また、出し入れ可能なエネルギーをもつ物体が、街に溢れるという点でも面白いことになりそうだ。日本のエネルギー政策上、極めて有効になることは間違いない。心配なのは、インフラなどではなく(そんなもんは後から付いてくるって)、日本における電池技術そのものの行末と、レアメタル&レアアースといったまたもや資源問題ではあるけれども、それもまた数多の研究室が素晴らしい答を出してくれそうな気配。原子力発電とともに、あとはどう政治が強力にバックアップできるかにかかっている。■5つ星評価パッケージング:★★★インテリア/居住性:★★★パワーソース:★★★★★フットワーク:★★★★★オススメ度:★★★★西川淳|自動車ライター/編集者産業から経済、歴史、文化、工学まで俯瞰して自動車を眺めることを理想とする。高額車、スポーツカー、輸入車、クラシックカーといった趣味の領域が得意。中古車事情にも通じる。永遠のスーパーカー少年。自動車における趣味と実用の建設的な分離と両立が最近のテーマ。精密機械工学部出身。
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