疑われる不具合がリコール対象となるか、あるいは、メーカーの不具合情報対応は技術的に適切であったか。その調査分析を行うのは独立行政法人「交通安全環境研究所」(東京都調布市・大橋徹郎理事長)の役割だ。
同研究所「リコール技術検証部」は、国交省リコール対策室の依頼で、不具合情報の検証を実施する国内唯一の検証機関。前原国交相は28日の閣議後会見で、このリコール技術検証部の体制を問題にした。
「リコールには、メーカーから出されるリコールと国土交通省が勧告するリコールがあるが、両方ともしっかりと対応し、技術的観点から検討を加えようと思うと、常勤1人、あと15人は非常勤というのは、いささか心許ないと思っている」
前原氏は、リコール制度の体制強化として、不具合の「情報収集体制の強化」とともに、「調査分析体制の強化」を上げている。
情報収集体制を強化し、本省のリコール対策室が自動車の不具合情報を多数集めても、リコールが求められるのは、メーカーの設計や製造上に原因がある場合だけだ。この見極めができないと、膨大な情報に押し流され、迅速なリコール対応はできない。
もともとリコール技術の検証が外部委託されるようになったのは、2000年の三菱自動車のリコール隠しが発端。研究所の「リコール技術検証部」は06年5月に創設された。
「非常勤と言っても6人は技術検証官と呼ばれる高度な技術者を雇用して、検証を続けてきた。非常勤といえばそうですが、契約職員のような感じで…」と、リコール技術検証部広報担当者は戸惑うが、むしろこの体制で不具合情報を検証できてきたことのほうが、ユーザーにとっては驚きだ。