気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2010年5月28日付
●iPad行列きょう発売(読売・1面)
●経団連米倉会長が就任、成長戦略「政府に頼らず作る」(読売・10面)
●トヨタ国内300万台生産維持、豊田社長「環境車開発で攻め」(読売・11面)
●電子書籍配信へ新会社、ソニー、凸版印刷、KDDI、朝日新聞社(朝日・1面)
●EV北米拠点に1530億円追加投資、日産社長表明(朝日・12面)
●ホンダ、ストの影響広がる、中国の完成車全工場、週内停止、賃上げ圧力強まる(日経・11面)
●トヨタグループ期間工の採用再開、生産堅調、豊田織機は350人(日経・13面)
ひとくちコメント
ホンダが中国にある4か所の組み立て工場の生産をすべて停止しているという。広東省にある変速機などを製造するグループ子会社の部品工場が、賃金の引き上げなどを求めてストライキに突入しているためで、その影響で部品が供給不足になったのが理由。ホンダでは、事態を打開するため、地方政府を仲介に入れる形で労使の話し合いを進めているが、生産は週内いっぱい停止するという。
きょうの日経などが現地の模様を詳しく報じているが、ストライキは17日昼に始まり、いったん中断した後、21日の夜勤から再開。組み立て工場は22日から26日にかけて操業停止に追い込まれたという。このため、4つある完成車工場のすべてで車の生産ができなくなっている。
中国では経済の急成長に伴って、最低賃金が引き上げられており、広東省でも、今月から最低賃金の基準が2年ぶりに平均で20%以上引き上げられたという。ホンダに限らず、中国市場を頼りにしている日本企業は多い。これまで人件費の負担が少ないことも中国進出を加速させる大きな要因にもなっていた。
賃上げ圧力が強まれば、進出企業のリスクが増大する可能性もあるが、一方で所得が増えれば購買力が高まることも事実。いずれにせよ、元気な頃の日本のように労働争議も含めて恐るべき中国パワーからしばらく目が離せない。