マセラティ『クアトロポルテ』に影響を受けたと見るのは自分だけ? でもロングノーズ・スモールキャビンのプロポーションは、インフィニティ・ブランドのアイコンでもあるから納得しよう。いずれにしても国産ビッグセダンとしては異例の肉食系だ。インテリアは足が組めるほど広いリアシートに対し、フロントはウインドスクリーンが目の前に迫るなどかなりタイトな作りだが、キャラを考えれば理解できる。走りはダイナミックなフォルムに見合ったものだ。7速ATのおかげで加速は2.5リットルでもじゅうぶん。3.7リットルなら迫力のダッシュを、日産らしい豪放サウンドとともに届けてくれる。乗り心地はしっとりしていて、ステアリングはなめらか。踏めば旋回を強めていくFRならではの快感も味わえる。硬派仕様の370GTタイプSは身のこなしがダイレクトになるが、乗り心地はそんなにツラくない。そうそう噂のエコペダルは想像以上のデキだった。アクセルペダルを踏みすぎるとググッと戻される、その力加減が絶妙。一日も早くコンパクトカーにも導入してほしい。■5つ星評価パッケージング:★★★★インテリア/居住性:★★★パワーソース:★★★★フットワーク:★★★★★オススメ度:★★★★森口将之|モータージャーナリスト試乗会以外でヨーロッパに足を運ぶことも多く、自動車以外を含めた欧州の交通事情にも精通している。雑誌、インターネット、ラジオなどさまざまなメディアで活動中。著書に『クルマ社会のリ・デザイン』(共著)、『パリ流 環境社会への挑戦』など。