スイスのチューナー、リンスピード社は、3月2日に開幕するジュネーブモーターショーで披露するコンセプトカー、『UC?』の写真を初公開した。2シーターのシティコミューターEVの提案で、将来の市販を想定している。
リンスピードは、フランク・M. リンダークネヒト氏が1977年に設立したエンジニアリング会社。おもにドイツ車のチューニングを得意とする。毎年ジュネーブモーターショーに斬新なコンセプトカーを出品し、話題を集めることでも有名。2009年に発表した『iChange』(アイチェンジ)は、世界初の乗車定員に合わせて変化するボディを採用したコンセプトEVだった。
今年のジュネーブには、UC?を出品。UC?には、「アーバン・コミューター」と「You see?」の2つの意味が込められた。ボディサイズは全長2600mm以下とコンパクト。1930‐50年代のフィアット『トッポリーノ』にヒントを得たというスタイリングは、愛嬌のある表情が特徴だ。
EVシステムの核となるモーターは、最大トルク13.2kgmを発生。最高速120km/h、最大航続距離105kmの実用性を備える。欧州では、全体の82%のユーザーが1日平均移動距離60km以下というデータに基づいた性能だ。
2次電池は、ドイツのLi-Tec社製のリチウムイオンバッテリー。充電は、50km走行分の電力なら40Vソケットで約2時間、400Vソケットなら約20分で完了する。
室内はステアリングホイールの代わりに、ジョイスティックによって操作するのが斬新。長距離移動の際には、鉄道の貨車への積載を想定しており、簡単に積み下ろしができる機構を採用している。
リンスピードのリンダークネヒト代表は、「UC?は未来の知的な移動手段を提案するモデル」と語り、近い将来、このUC?を量産に移す計画だ。