第一印象は「ややエグい?」と思えるスタイル。Aピラーを50mm後退させロングノーズを強調、後輪駆動らしさを表現したプロポーションがマセラティ『クワトロポルテ』似?、とも思った。が、試乗時間内(1時間枠×2)で見慣れた。
というか、豊かさを連想させ、包容力のある姿に感じた。内装も革シボの質感、見栄えも上々。手で触れる部分の触感へのこだわりも素晴らしく、かつ心地いい。
「370GT」のシートの“斜めパターン”は、日本車ではいすゞ『117クーペ』最後期のジウジアーロ限定車以来か? 後部ドア開口部が少し小さい点(居住スペースはまったく不満なし。天井も頭上の遥か後方まで延びている)と、センターパネル部のスイッチ操作に慣れが必要な点…の2点が気になった程度。
走りは「250GT」でも不満ないが、370GTタイプSの爽快なハンドリングと、胸のすくエンジンフィールが印象的だった。タイプSの20インチタイヤの乗り心地もまったくスムース。BOSEのしっとりと濃厚なサウンドも、クルマのキャラクターに合っている。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年より「GOLD CARトップ・ニューカー速報」の取材/執筆を皮切りにフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。