トヨタの次世代エコカー『プリウス プラグインハイブリッド(PHV)』。バッテリーの容量が小さいため、EV走行距離は23.4km(JC08モード走行時)と、純粋なEVよりはずっと短い。が、フル充電になるまでの時間も100ボルト電源使用時で3時間、200ボルト電源使用時で100分と短くてすむ。バッテリーの電力が尽きた後も走行不能にならず、普通のハイブリッドカーとして使えるため、気軽にEVを運用可能という点は大きな長所と言える。
今回リースが開始されたモデルの場合、多少の前後はあるが、バッテリー総容量5.2kWのうち、EVとしては30 - 80%の範囲を使い、ハイブリッドカーとして走る時は40 - 60%を使うというSOC(ステート・オン・チャージ=充電制御)が行われる。すなわち、電池容量はディープサイクルで言えば、2.6kWhに相当する。
バッテリーに十分な電力がある状態でスタートした場合、残量が30%近辺に減るまで基本的にEVとして走行し、その後は通常のハイブリッド制御に切り替わる。が、バッテリーの技術が進化したり、制御をより巧みに行うことで、満充電に近い状態で頻繁に電気を出し入れしても問題が出ないようにすることができれば、必ずしも最初からEVとして走行しなくてもいいなど、使い方の自由度は格段に広がる。
「EV以外は走行できない区域が設定されるケースが今後、世界的に増えることが予想されています。PHVの機能を進化させていくと、EVエリアの近くまではハイブリッド状態で走っていき、目的地近辺ではEV走行をするといった使い方ができるようになる。また、純粋にエネルギー効率を上げることを考えた場合、EVオンリーで走るのではなく、蓄えた電力とエンジンを協調させれば、さらに効率を上げられるかもしれない。そういった使い方ができるようになるための研究も進めていきたい」(チーフエンジニア・小木曽聡氏)
PHVという技術自体は、すでにアメリカでプリウスの改造キットが数千ドルで売られるなど、さほど目新しいものではなくなってきている。が、自動車メーカー基準の品質、性能保証が可能なPHVを作るとなると途端に難しく、ようやく一人歩きをはじめた段階。現時点では到底普及レベルにない高価格の引き下げも含め、今後の進化が楽しみなところだ。