オシリの四灯ブレーキランプがなくなった時点で、『スカイライン』は終わった。いまあるのは名前だけつけた亡霊のようなもの。いや、アメリカ向けだからゴーストと呼ぶべきか。 だけど“クロスオーバー”になるとちょっと違う。あれ? かっこいいし。背の高いSUVの要素は大人の好奇心をちょっとくすぐる。未開拓なエリアを走破しようとする冒険心は、免許取立ての子供たちより成熟した大人のほうが強いはずだ。 アクセルを踏み込むと3.7リットルのエンジンが唸る唸る。やっぱり内燃機関だと、痺れるほどだ。ほかのところでエコ活動しますから、このクルマのエンジンだけは、ぶん回させてくださいと神様にお祈りしたくなる。 2WDと4WD、走破性はさておき、明らかに足まわりが重い4WDに対し、2WDの軽快さは爽快そのもの。未開の地を走破したいと思いながらも、やはり取り回しのしやすさを選択しちゃうあたり、女性の冒険心は結局、そんなお手軽を望んでいるのかも。 ■5つ星評価 パッケージング:★★★ インテリア/居住性:★★★ パワーソース:★★★★★ フットワーク:★★★★ オススメ度:★★★★ 岩貞るみこ|モータージャーナリスト 1962年横浜市出身。いま一番購買力があるとされるアラフィー世代を代弁する軽妙な論調に定評あり。交通安全啓蒙に力を注ぐほか、子供たちに命の大切さを伝えるノンフィクション作家としても活動。近著に『ハチ公物語 - 待ちつづけた犬 -』(講談社青い鳥文庫)。