初代発売時から、海外と同じ『Mazda 3』という車名の方がインパクトがあって、より多くの人に認知されやすいはずと主張している。というのも、この『アクセラ』、ぜひ気にして欲しいクルマだからだ。乗ってちょっと走るだけで「これはいい」と感じることのできるクルマはそう多くはないが、最近ではVW『ゴルフ』と、この新型アクセラが双璧となっていると言っていい。
シートの出来が良く、パワー感がちょうどよく、ワインディングではまるで『マツダ ロードスター』のように走り、高速巡航も流れるようにこなす。本当に走っていて気持ちのいいクルマだ。ただし新型でも先代のシャシーをキャリーオーバーできてしまうほど、このクラスのガソリン車はここ10年で出来が良くなってきている。となればさらに主張すべきは環境性能だ。
その点、エンジンの停止や再始動をほとんど意識させないアイドリングストップ機構の付いた2リットルモデルなど、走りの気持ちよさと併せてガソリンエンジン車の“ほぼ完璧”な姿だ。アクセラなら気持ちよく走りながら無意識にエコできるわけで、ハイブリッド車に対するガソリン車の逆襲は、かなりの部分で成功していると言えるだろう。
ただ、もともと燃費のいい1.5リットル・CVT車に「i-stop」が付かないのは残念。またアクセラの場合、このあと特に重要なのはミッションだろう。初代『アクセラ』は当初4ATが残念だったが(3年後に5ATが登場)、今回の新型2リットル車には5ATしかないわけで、これがまた残念なところ。もし同じプラットフォームのフォーカスやボルボ『C30』、『S40』、『V50』に採用されている6速DCTだったら、さらに燃費は良くなったはず。技術的には難しいのかもしれないが、i-stopとDCTの組み合わせとなったらこれぞ“完璧なエコ・スポーツ”と呼んでしまいたい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
水野誠志朗|自動車ライター
97年に新車試乗記を中心とするウェブマガジン「MOTOR DAYS」を立ち上げ、以来毎週試乗記をアップし、現在550台を超える試乗記を公開。「クルマはやがてはロボットになる」として、走りだけでなく利便性・安全・エコの面から新たなクルマのあり方を提言している。名古屋市在住。