【ドイツ ミドルクラスセダン徹底比較】今なぜ5シリーズか…BMWのエンジニアリングからフィロソフィーまで

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デザイン的にもこのクラスのベンチマークになった

デザイン面での成功を証明するように、5シリーズの外観はデビューからすでに6年が経つにもかかわらず、まったく旧さを感じさせないものだ。先代7シリーズが2005年に一度大きく外観デザインを変更した後、今年3月に一足早くフルモデルチェンジしたのに対し、5シリーズは2007年のマイナーチェンジでも外観デザインに関しては極めて小規模な変更しか行っていない。具体的にはヘッドライト横のターン・インジケーターデザインとバンパー形状を少し変更し、灯火類のバルブをLED化した程度だ。

それでいて鮮度を失っていないどころか、むしろ最新のデザインにすら見えるのは、結果としてこの5シリーズをはじめとする当時のBMWデザインが今現在のトレンドを生み出したからにほかないだろう。デザイン的にもこのクラスのベンチマークとして大きな支持を得た証左でもある。

加えて最近では、伝統的に5シリーズが本来備えてきたエレガントさに一般ユーザーの目が向くようになり、斬新なものを求める新しいカスタマーと旧くからのBMWユーザーの双方から支持されるようになった傾向もあるようだ。実際、BMWが購入者に向けておこなった調査では、5シリーズ購入の決め手や好きなポイントとして上位にあがるのは“走り”とともに“デザイン”だという。

◆BMWに求められる『走り』の期待値はとても高い

デザインの話が先行したが、BMW、そして5シリーズで真っ先に触れるべきは、やはりその「走り」についてだろう。だが一口に「走り」と言っても、それは具体的に何を意味するのだろうか。5シリーズはスポーツカーではなく、あくまでスポーティかつ快適で、実用的で、そして安全なスポーツセダン。ならばその「走り」とは、カウンターステアを当てるような限界域だけではなく、日常域でも感じられる性能でなければいけない。

「5シリーズに限らず、BMWに対してお客さまが求める『走り』の期待値はとても高いものがあります」と佐藤氏。では、期待値を満たす、また期待値をさらに超えたものを提供するには何をなすべきか。そこで独自のエンジニアシングが追求される。BMWの伝統とも言える直列6気筒エンジン、50:50の前後重量配分、そして軽量設計だ。直列6気筒はその優れた振動特性から最も理想的とされるエンジン形式の一つだが、一方で世界の主要メーカーは衝突安全対策を含む生産コストや汎用性などの点から、1990年代後半から2000年代初頭を境にそのほとんどをV型6気筒などに置き換えている。技術的に直6を採用し続けることは可能だったのだが、他メーカーはそれを諦め、BMWは逆にこだわったということだ。だが佐藤氏はその決断を単に“こだわり”という情緒的な言葉に集約させず「実のところそれは長年積み重ねられた技術や他社では採用していない素材を使い、クルマ作りに対してのこだわりがあるからこそ実現できるもの」という点を強調する。また、現行5シリーズのボディ構造は重量のあるV8エンジンを載せた場合でも前後重量配分が50:50になるように、Aピラーより前をアルミ製、後ろをスチール製とした『ハイブリッドボディ』としている。

アルミとスチールのハイブリッドボディ。確かにこんな凝った構造を量産ミドルクラスセダンに採用するメーカーは他にない。スポーツカーに範囲を拡げれば、2006年にデビューした2代目アウディTTがやはり車体前半をアルミ製スペースフレームとしているし、オールアルミボディのセダンではアウディA8やジャガーXJなどの例が確かにある。

しかしアルミ合金は材料費が高く、特殊な生産設備や技術が必要であるため、量産車をアルミボディとするのはコスト面で折り合わないというのが常識だ。例えばアルミとスチールの接合は電位差による腐食が起こりやすいが、5シリーズでは絶縁性接着剤を使ってその問題を解消。熱膨張率の違いに対してはパンチングリベットによる結合で対応している。前後重量配分50:50にこだわるBMWにとっては、そこまでしてもボディ構造の一部アルミ化は譲れなかったわけだ。もちろん5シリーズではエンジンフード、フロントフェンダー、サスペンションアーム類もアルミ製だ。

軽量化の追求はボディのみに限らない。たとえばエンジン。「直6エンジンに関しては、ヘッドカバー等だけでなくシリンダーブロックの外側をマグネシウム、内側(のシリンダーライナー側)をアルミ製とする軽量化技術を採用しています」(佐藤氏)。これも他社が真似したくても、出来ない技術の一つだ。

これはレーシングカーや超高級スポーツカー向けエンジンの話ではない。あくまでBMWの販売主力とも言える量産直6エンジンについての話だ。佐藤氏が「そこまでしてもBMWは50:50にこだわるのです」と念を押したくなるのも無理はない。

【関連リンク】BMW 5シリーズ公式サイト

《丹羽圭@DAYS》

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