2008年のPND世界出荷台数は4100万台。そのうちの33.7%(1380万台)を占めているトップメーカーがGARMIN。ここ日本においても、UIや自車位置精度、そして優れたコストパフォーマンスで人気を広げてきた。
◆PND出荷台数ベース世界シェア33.7%
2008年、メモリータイプポータブルナビ(PND:Personal/Portable Navigation Device)の世界市場規模は4100万台。そのうちの33.7%(1380万台)を占めているトップメーカーがGARMINだ(英国のマーケットアナリスト会社CANALYSの資料による)。海外ブランドが受け入れられにくいと考えていた日本においても、割り切りのいいUIや長年の実績が反映された自車位置精度、基本を抑えたナビ機能、そして圧倒的なコストパフォーマンスで着実に人気を広げてきた。
今回紹介する『nuvi205』は、昨年大ヒットとなりGARMINのシェアアップの牽引役ともなった『nuvi250/250Plus』の後継モデルだ。
◆携帯電話のようなコンパクトさ
本体サイズは高さ74mm・幅96mm・厚さ20mm。そして重量は145gと同クラスのPNDの中ではもっともコンパクトかつ軽量な部類で、多少厚みはあるものの、ケータイのように持ち運べる。また軽量ボディは、マウント類の小型化にもつながっている。本体はマウントと一緒に気軽に持ち運べるから、取り外してカバンに入れるのが習慣になる。また、マウントは前モデルのnuvi250/Plusや『nuvi205W』と共通。1ドルの差が数万台という販売台数に響くPNDゆえ、その合理化は徹底されている。
ボディサイズは外観的には旧モデルと大きな変更はないが、昨年秋に登場したnuvi205Wの流れをくむボディ色を採用し、 明るめのシルバー調からガンメタリックに近いカラーとなった。また、従来のSDカードスロットがmicroSDカードスロットに変更されたことも新しい。背面にはPCとの通信および電源供給を兼ねたミニUSB端子が配置される。内蔵電池の駆動時間は4時間以上としている。
◆限られたメモリーサイズながら検索データは水準以上
日本国内の地図や検索データは、従来モデル同様に2GBの内蔵フラッシュメモリに収録。住所検索データは3300万件、電話番号検索は800万件を実装するほか、ジャンル別検索は内容を一新しヒット率を向上させたという。またSA/PAに新設されたスマートICから出ても迷走しにくいリルート制御も加えているとのこと。
使い勝手やナビ機能についてはインプレッション記事を参照してもらいたいが、UIは従来モデル同様とにかく“シンプル”に尽きる。メニュー画面に出てくるのは「目的地検索」と「地図」で、隅に「音量」「ツール」のボタンがあるだけ。この割り切りの良さはnuviシリーズの大きな特徴だ。
◆ドライブから帰ってきたらログ確認
ここではnuvi205ならではの特徴をいくつか紹介しよう。まず、205で新たに追加されたのが軌跡の取得だ。08年に登場した205Wおよび900から搭載されたもので、軌跡データはGPX形式で内蔵メモリーに記録される。
PCの知識があれば、軌跡データの利用は簡単だ。USBケーブルでPCにつなぐと、nuviは外部ディスクとして認識される。ディスクを開き、「GARMIN」フォルダ内に生成される「GPX」フォルダから「.gpx」の拡張子を持つファイルをGoogle Earthなどの対応地図ファイルにドロップ。Google Earthでは進行方向や通過時間などの付加情報も表示可能だ。どのルートを通ってきたのかが一目で分かるのでドライブ旅行などから帰った際には、nuviをPCにつないでルートをGoogle Earthで見る…というのが習慣になりそうだ。
◆Google MapsからPOIをnuviに送信
もうひとつはGoogle Maps連携。利用前にGarmin Communicator Pluginをインストールする必要がある。このプラグインはWindowでもMacでも対応版が出ており、IE6以上またはFireFox1.5以上で利用可能だ。
Google Mapsで検索した施設の詳細データをnuviに送信できるというもので、Google Mapsは日本で一般にアクセスされている.co.jpドメインではなく、.comドメインのサイトを利用する必要があるが、.comでも.co.jpと全く同様に日本語で利用できる。施設の詳細画面で「送信」の「GPS」から「GARMIN」を選び送信すると、プラグイン画面に移り、デバイスを選択して送信。すると、nuviの「お気に入り」に地点の情報が移され、目的地として設定できるようになる。
◆上級者向けだがPanoramioとのフォトナビゲーションもオススメ
そしてGoogleの提供する地図&写真共有サイトの『Panoramio』(パノラミオ)との連携による“フォトナビゲーション”も可能。ただし、これはGARMIN本国のサイトで機器登録をしたうえで、“My GARMIN”アカウントを取得する必要があるため、利用のハードルはさらに上がる。
とはいっても、煩雑なのはアカウントの設定までで、それも1度設定してしまえば使い方に苦労することはない。My GARMINとPanoramioのマッシュアップサイトである『GARMIN Connect Photos』(http://connect.garmin.com/photos 日本語にも対応している)にアクセスして、地名や施設名を検索するだけ。なお、ここでもGarmin Communicator Pluginが必要だ。検索結果で出てきた写真で気に入ったものをカートにスプールして、「デバイスに送信」を押せばnuviに送信される。
送信された画像はnuviのメニュー>目的地検索>お気に入り>Panoramio Photosで写真を選択すれば、目的地として設定可能。フォトナビゲーションでは、いちどにたくさんの写真(=POI)を設定できるので、1回の送信で1つのPOIしか送れないGoogle Mapsよりもずっと使いやすい。なお、GPSログの取得はnuvi205W/800/205から新機能だが、Google Maps連携は旧機種のnuvi250/250Plus、さらにnuvi360でも利用できる。また、フォトナビゲーションについては旧機種でも画像の送信はできるが画像表示のポイントを目的地として利用することはできない。
◆PC連携機能は実に多彩
このほか、自車位置アイコンのダウンロードやオービスデータの取得・利用など、nuviとPCとの連携による機能は実に多彩。もちろん、nuviを買ったのならそのまま吊しでカーナビとして利用するのもいいが、これらの連携機能を駆使すれば、nuviの魅力はさらに広がる。ハードだけではない、サービスの魅力がGARMINを世界シェアのトップに押し上げたとも言えそうだ。