EV(電気自動車)に限らず、ハイブリッドも二次電池の性能が問われているということを如実に現しているのが今回の『インサイト』の進化といえる。
『シビックハイブリッド』のシステムをそのまま継承しているのだが、注目すべきはバッテリーセルの数を11個から7個に減らし、モーターも60mmあった肉厚を22%薄型化している。電圧も、2代目『プリウス』では法規制が変更されたことも受けて昇圧されたのに対し、インサイトでは150V→100Vへと下げられた。ハイブリット専用車とインパクトを与えながらも、実はその中身は縮小しているのである。
言い方が良くなかった、コンパクト化・軽量化しているのだ。つまり、ホンダは現在のニッケル水素電池を使用する限り、ハイブリッドを進化させることは無用、意味がないと技術的に見切っているのではないだろうか。
それよりも、パワーと重量における燃費の分水嶺をインサイトで現したと理解できないだろうか。リチウムイオン電池の安全性が確立され、或いはそれを超える効率の電池が世の中に出てきたときに本当のハイブリッド開発競争が始まるように思える。
インサイトの、○はモーターの違和感がない自然な加速性能と、「LS」に装備されるスポーティーなパドルシフト。×は、若干硬すぎるサスペンションと、リヤから伝わるボディの振動。それと、エアコンのコンプレッサーをエンジンからのベルト駆動オンリーとしたので、夏場はアイドリングストップの頻度が少なくなりそう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
松田秀士|レーシングドライバー/モータージャーナリスト/僧侶
スローエイジングという独自の健康法で53歳の現役レーシングドライバー! SUPER GTをランボルギーニ『ガヤルド』で戦っている。INDY500など海外レース経験も豊富で、確かな知識と国際感覚でクルマの評価を行う。 2008-2009日本カーオブザイヤー選考委員。