水素燃料と燃料電池セル・スタック市場を調査…富士経済

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富士経済は、燃料電池の今後の市場展望について水素燃料とセル・スタック部材に焦点を当てて調査を実施し「2008年版燃料電池関連技術・市場の将来展望 下巻」にまとめた。

今回の調査では、燃料電池の今後の展開と発展の方向を見据えるために重要な「水素燃料」、「セル・スタック部材」に着目し、それぞれの製品化状況や技術開発動向、課題などに関する動向などを調査・分析して将来を予測した。
 
それによると燃料電池関連総市場は、燃料電池システム、水素ステーション、水素燃料の3市場で構成し、2020年度には全体で1兆4966億円に達すると予測。2008年度の市場は97億円で、今後12年間で150倍を超える市場となる。牽引役は、燃料電池システム市場ではFCV(燃料電池車)、水素燃料市場では家庭用燃料電池となる。
 
水素ステーションは、2015年のFCV市販化が始まるまでに、ある程度エリア展開が必要で、2010年以降、年間10カ所前後新設され、2015年からは年間60か所以上新設されると予測している。
 
FCV向けの水素供給に向けた取り組みが続けられており、2015年のFCVの市販を目指して商用ステーションのスペック検討と水素ステーション整備計画の検討が開始される段階になっている。水素製造、貯蔵、供給にわたり技術開発が進展しており、1立法メートル当たり40円の水素コストを目標に掲げ、いかに無駄なく水素を利用するかがポイントになっている。
 
水素を現在のガソリンと同程度の価格で販売することを前提にして、水素ステーションの建設コスト目標が検討されており当面1か所あたり2億円が目標。将来的には建設コストの低減は普及のため、必須で、水素ステーションの構成機器の低コスト化がカギを握る。また、水素製造装置を利用しないオフサイトステーションも検討されている。
 
一方、燃料電池セル・スタック市場は2008年度が25億円の見通しで、2020年度には1136億円と、2008年度の45倍に膨らむと予測している。
 
燃料電池システムを構成するのは、PEFC、SOFC、マイクロFCの電極材、電解質、セパレータ、PEFC向けGDL(ガス拡散層)。セル・スタック市場は、2020年に1136億円になると予測され、燃料電池システム市場の約1割を占める。部材市場は、2010年までシステム向けは大幅には増加しないものの、2015年以降は家庭向けが市場の牽引役となり、拡大していくと予測している。
 
FCV向けは2015年の市販に向けて高耐久性とコストダウンをめざしている。燃料電池のシステム開発から部材開発へのシフトが顕著で、今後の部材開発が商品化の鍵を握っている。

《レスポンス編集部》

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