一瞥しても、どこの国のクルマだかわかりづらいが、全長5m、全幅2m以上という野放図な大型ボディからアメリカ車であることを知る。聞けば、アメリカ国内のかつてのサターン工場製だという。
ドライビングライトがスバル『レガシィ』やジャガー『XF』、速度とエンジン回転計のメッキの縁取りがアウディそのものと、“迷えるアメリカ車”を象徴している。
走り出せば、中立から急にアシスト量が増える不自然なパワーステアリングの設定に戸惑うが、乗り心地やエンジンのパワー特性などには、何の不満もない。普通に走る。静かで、滑らかに走るのは結構だが、いわゆる“アメリカ車らしさ”は微塵もない。それを求めると失望するだろう。
ボディは大きくても構わないから、ゆったりと8人乗れるクルマを探している人、つまり『アルファード』や『エルグランド』では小さ過ぎると考える人には検討候補に挙げるべきクルマだろう。シートアレンジに個性が光っている。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
金子浩久|モータリングライター
1961年東京生まれ。著書に、『10年10万キロストーリー』、『セナと日本人』、『地球自動車旅行』、『ニッポン・ミニ・ストーリー』、『レクサスのジレンマ』、『力説自動車』(共著)などがある。