米国日産の本社は2年前にカリフォルニア州からテネシー州に移転して以来、西海岸地域とやや疎遠になりかけていた「NISSAN」ブランドの再構築を図ってか、カルロス・ゴーン社長が自らロサンゼルスモーターショーに繰り込んでアピールした。
ゴーン社長は19日、ロサンゼルスモーターショーの企画の一つとして、モータリングプレスギルドの朝食会で基調講演を行った。モータリングプレスギルドはロサンゼルスに本拠を置く、自動車業界のジャーナリスト、フォトグラファー、広報担当者の団体。
ゴーン社長の講演は、日本国内で話すときより緩やかだった。販売激減の米国市場でデトロイトビッグ3への配慮もあったと思われ、日産ならではのセグメントを進むという、ソフトなメッセージだった。
また環境対応車両の開発と実用化については、連邦政府はじめ各州政府、自治体との協調を通じた電気自動車利用のインフラの整備が求められるとの認識で、それに対するメーカーとしての対応や商品化を進める意向を示していた。
裏を返せば高い開発コストの掛かる電気自動車や環境対策車の普及には、政府はじめ行政や世論などの合意が必要であることを、ここ米国でも訴えたいメーカーの事情も伝わってきている。
もっとも現地メディアの報道が国内メーカー優先になるのはいずこも同じで、日産社長の講演よりも、政府に資金調達に陳情しながら高額なプライベートジット機を利用してきたビッグ3トップに対する、国会議員の冷ややかな反応ぶりがクローズアップされていた。