エンジンをフロントにオーバーハングし、それによる前の重さを抑え込むべく足を固めた結果、乗り心地は上下に揺すられ続ける。歴代『A4』が持っていた欠点を、150mmほどフロントタイヤを前に移動するだけで解消してしまったのだから、自動車工学というのはやっぱり奥が深い。しかもロングホイールベースに合わせてウエッジシェイプと訣別したおかげで、エレガントなフォルムまで手に入れた。とくにアバントは現在新車で買えるワゴンでダントツの美しさだと思う。でもここまで前後方向の重量配分をイーブンに近づけるなら、クワトロ一本でいくべきじゃないだろうか。ところが現在のラインナップはセダン/アバントともに、1.8リットル4気筒ターボの前輪駆動と3.2リットルV6クワトロの2グレード。両車には200万円以上の価格差がある。リーズナブルな4気筒ではトラクション能力がイマイチ。でもクワトロはV6しかなく高価。うーん悩む。新開発プラットフォームの能力をいちばん生かせると思う4気筒クワトロの投入はいつ?■5つ星評価パッケージング:★★★インテリア/居住性:★★★★★パワーソース:★★★★フットワーク:★★★★★オススメ度:★★★★森口将之|モータージャーナリストフランス車やイタリア車、ヒストリックカーなどスペックだけでは語りつくせないクルマや、コンパクトカーやディーゼル車など生活に根づいたクルマの魅力をわかりやすい言葉で表現するのが身上。試乗会以外でヨーロッパに足を運ぶことも多く、自動車以外を含めた欧州の交通事情にも精通している。雑誌、インターネット、ラジオなどさまざまなメディアで活動中。著書に『クルマ社会のリ・デザイン』(共著)など。
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