【池原照雄の単眼複眼】米国で抱える「リース残価減」という新たな難題

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クライスラーはリース金融から撤退

市場規模の大幅な縮減、ライトトラックから乗用車への需要シフトという激変に見舞われている米国で、新たな難題が浮上してきた。リース販売した車両の残価が、ライトトラック系を中心に下落しており、損失処理額が膨らんできたのだ。

米クライスラーグループは、リース販売による損失に歯止めをかけるため、金融子会社による新規のリース事業から7月いっぱいで撤退することを決めた。日本メーカーもリース損失の事情は同じであり、当面は米事業の収益の足を引っ張ることになる。

クライスラーは25日、金融子会社のクライスラー・ファイナンシャルが手掛けてきたリース金融をやめると発表した。系列ディーラーが今後もリース販売を行う場合は、自力で資金を調達する必要がある。「体力のある大手を除けば実際には困難になる」(日本の大手メーカー幹部)という。

◆ホンダは第1Qで170億円の損失計上

米国では個人向けのリース販売が普及しており、欧米メーカーでは時期によって新車販売比率の半数を超えるケースもあった。それだけにクライスラーには思い切った決断となった。今後はゼロや低金利ローンなどインセンティブ策で販売促進を図る。

最近のリースの損失増大は、終了(リースアップ)時に想定していた車両の残価が、ライトトラックの不人気によって急落状態にあるからだ。リースアップした車両は中古車として再販するが、商品にならず廃車処理になるケースも増えているという。

ホンダは25日に発表した今年度第1四半期決算で、米リース事業での残価再評価による損失を170億円計上した。通期では250億円規模と想定している。

◆ライトトラックのリースが「負の遺産」に

ホンダのリース比率は多い時で数十%程度という。だが、フルサイズのピックアップトラックを手掛けず、大型車への深入りを避けた同社でも、ライトトラックの中古車価格下落の影響は小さくない。

逆に「『アコード』や『シビック』など残価が上昇している車種もある」(近藤広一副社長)だけに、ライトトラックの値崩れの激しさを浮き彫りにしている。

数年前にライトトラック系のリース販売が多かった企業は、負の遺産を抱え、処理を迫られる。今後、発表される第1四半期決算で、その実態が徐々に明らかになってくる。

《池原照雄》

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