アウディ『R8』のエクステリアデザインは、前後のフェンダーラインにまでつながるショルダーラインが一番の特徴。このラインは車両の前後端を経て左右がつながり、テニスボールの継ぎ目のように車両全周にわたる“ループ”というラインを描く。
「フェンターの稜線は『クワトロ』フルタイム4WDシステムを象徴するもの。キャビンは人が乗っていることを示すためにショルダーラインを低くする。そしてそれらを結合した」「アウディのデザインは論理的やストレートなイメージがある。なおかつ、誰でも絵に描くようなデザインにすることがこのショルダーラインのポイントなんだ」と、デザイナーのランバルティさん。
ショルダーラインを強くフロント側に低く傾斜させるウェッジシェイプはあえて避けた。フェンダーラインは、キャビンルーフのカタチに沿って、ひらがなの“へ”の字になっている点も注目。
隆起した前後フェンダーは、張りのある面になっている。「フェンダーはエモーショナルに仕上げている。これを優先するには複雑なカーブを使うべきではない」とも、ランバルティさんは語っている。スポーツカーのデザインといえど、セダンメーカー、アウディの思想で考えられている。
またグリルは、シングルフレームグリルなのだが、エンブレムがボンネット面に鎮座しているのが他車と異なる。インスピレーションはアウトウニオン『タイプC』に由来している。また、グリルの位置が低いためにエンブレムをグリルの外に配置しなければならなかったという理由もある。これは今後のアウディ共通フェイスではなく、R8だけのイレギュラーな処理となっている。