【池原照雄の単眼複眼】大幅な燃費向上が課せられる「2015年基準」が始動

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政府と業界が「JC08モード」の周知へ

省エネルギー法の改正による2015年度燃費基準の運用が現行の2010年度基準と並行する形でスタートした。15年度基準では新たに「JC08モード」による燃費性能がカタログに表記されるため、自動車業界は政府の監修も得たパンフレットを作成し、消費者への周知も始める。今月以降は準備の整った新モデルから従来の「10・15モード」と新モードのカラログ併記も始まる。

日本自動車工業会が経済産業省と国土交通省との連名で作成したパンフレットでは、15年度燃費基準の内容や新たな測定方法である「JC08」と「10・15」の相違点、カタログ記載の移行スケジュールなどが紹介されている。

15年度基準は現状より大幅な燃費向上が必要となるものの、新測定法の「JC08」では、「10・15」より燃費が悪く出る。そこで、ユーザーに誤解を与えないためにも周知活動が必要となっている。

◆自工会は「おおむね1割低くなる」と紹介

実際、15年度の新燃費基準はメーカー側には相当厳しいものとなる。全乗用車の平均では1リットル当たり16.8km(JC08測定)が基準となる。これは04年度実績に対し、23.5%もの改善(いずれもJC08測定での比較)に相当する。

これまで、世界トップレベルの排ガス規制や燃費基準をクリアしてきた日本メーカーだが、今度ばかりは「達成できずに他社から技術を買うといったケースが出るかもしれない」(大手メーカー首脳)との声も漏れる。

自工会が作成したパンフレットでは「JC08」の理解を深めてもらおうと、同モードでの走行パターンや走行距離(8.172km)、最高速度(81.6km/h)などが「10・15」との比較で記載されている。そのうえで、「JC08」では「10・15」より「おおむね1割ほど燃費が低くなる傾向」と紹介している。

一方、「JC08」による燃費性能がカタログ表記に義務づけられるのは11年度からだ。ただし、今月以降は移行期間として新旧モードの測定結果をカタログに併記することもできる。政府としては新モードの認知を早めるため、併記を推進したいところだ。

◆新型マツダ・デミオは10・15モードのみで認定

もっとも、ユーザーの間では「10・15」の数値が浸透しているだけに、メーカー側の対応にも温度差がある。たとえば、5日に新型『デミオ』を発売したマツダは「10・15」での認定にとどめた。

同モデルは、新開発の「ミラーサイクルエンジン」で1リットル当たり23kmと、クラス最高レベルの燃費を達成。これが環境性能の大きな訴求点となっている。23kmという数字が「お客様にも伝わりやすい」(同社)ということからも、従来方式だけの試験を選択した。

ただ、より「実用燃費」に近づく「JC08」の表記はユーザーには親切。今後、どこが先頭を切るのか、ちょっぴり楽しみでもある。

《池原照雄》

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