【池原照雄の単眼複眼】日産の7年連続最高益の実現性

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中間期の2ケタ減益は想定内の推移

10月26日の日産自動車の中間決算発表。この7年間、カルロス・ゴーン社長の会見にはほぼすべて出席したが、今回ほど身振り手振りのアクションが大きかったことはなかった。中間期とはいえ、営業利益は就任以来初の減益。アクションの大きさは、窮状を示すバロメータのように見えた。

新車投入が枯渇した中間期の営業利益は15.3%の減益だった。それでもゴーン社長は「年度当初の想定内で推移」していると評価、通期予想の変更はせず「2006年度は7年連続で最高益を出す年になる」と、宣言した。

◆株価に示されたゴーン社長への信認

10月以降は、最大の収益源である米国で『セントラ』、『アルティマ』、インフィニティ『G35』(日本名:日産『スカイライン』)という主力車種の投入が相次ぐ。下期の米国販売は「2ケタ台の成長を達成するだろう」(ゴーン社長)と見ており、通期での最高益更新の原動力と位置づけている。

株式市場におけるゴーン社長への信認は健在だった。決算発表翌日の株価終値は、前日より35円(2.5%)も上昇した。配当利回りが高いためもともと下値抵抗が強いのだが、これまでのコミットメントをすべてクリアしてきたゴーン社長の実績への信認が株価に反映された。

しかし、最高益達成への道は、綱渡りのような危うさを内包している。米国を中心に下期に世界で9車種の新モデルを投入するが、大半の車種の成功が最高益への条件となる。

◆業績の前提である販売台数に不透明さ

それでも、年度初めに掲げた今期の世界販売373万台の実現は絶望的と見る。中間期の実績は前年同期比7%減の171万台。下期には202万台という、半期では未踏の台数をこなさなければならないからだ。ゴーン社長は販売計画の変更については「すべての数字が年度初めと同じとはいえない」と口を濁すのみで、373万台に対する明確な見解は示さなかった。

自動車メーカーにとって販売台数の見通しは業績の大前提。この中間決算ではホンダや三菱自動車が下方修正を発表したが、それはステークホルダーにとって必須の情報である。

日産の決算書に添付される「参考資料」では、これまで掲載されていた「当通期予想」の欄も、なぜか今回削除されていた。日産社内では当然、販売計画の改定値が存在するはずだ。それを開示すれば最高益更新への道筋に齟齬を来たすということかもしれない。

《池原照雄》

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