新しいクルマなのに運転するととても古いクルマに乗っている感じがする。このハンドリングは30年前のレベルである。
新しいクルマと昔のクルマを比べたとき、一番の違いは遊びだ。ハンドルについていえば直進からほんの小さく切った範囲の反応と手ごたえをニュートラル感と呼んでいるが、昔のクルマはここの遊びが大きかった。
ハンドルを切ったときにすぐに反応せずリニアな反応でなく、手ごたえもダイレクトな感触がないのだ。日産ではこの症状を「Nブカ」と呼んでいた。「N」はニュートラルのイニシャルで、「ブカ」は手ごたえがブカブカしているから付けられたようだ。新しいシルフィーはこのNブカが30年前のレベルなのだ。
直進状態でも自分の車線の中でラインを決めて走ろうと思っても、なかなか思い通りのラインに乗せることができない。とてもいい加減な走り方になる。スポーティさを求めたクルマではなくても、ニュートラル感はしっかりさせてもらいたい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★☆
インテリア/居住性:★★★☆☆
パワーソース:★★★★☆
フットワーク:★★☆☆☆
オススメ度:★★☆☆☆
こもだきよし| モータージャーナリスト
クルマ好きというより運転が好きなモータージャーナリスト。日本自動車ジャーナリスト協会副会長、BMWドライバー・トレーニングのチーフインストラクター、JAF交通安全委員会委員、警察庁各種懇談会委員などを務める。