非現実的プライスの『M5』は外すとして、マイベストBMWは『130iMスポーツ』だと心に決めていたら、その舌の根も乾かないうちに現れたのが、これ。
ただの“3シリーズ・クーペ”と思ったら大間違い。新しい直噴6気筒ツインターボが、まずスゴイ。風に吹かれるようなターボ感はないかわり、低回転から筋骨隆々たるトルクを発揮。直結ギアのようにダイレクトな新型6段ATもすばらしい。
いっぽう、サスペンションも3シリーズセダンに輪をかけてスポーティ。ワインディングロードではおもしろいようによく曲がる。ベスト・ハンドリングFRといいたい。しかも、乗り心地はしなやかで、ランフラットタイヤのゴツゴツ感もついに解消された。
全身、運動神経のかたまりのような高いスポーツ性能をもちながら、荒さは微塵もない。BMWの常で、値段はお高いが、余人をもって代え難い極上スポーツクーペ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★☆
インテリア/居住性:★★★★☆
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
下野康史| モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集部を経て、モータージャーナリストに転身。現在はクルマ雑誌を始め、週刊誌のコラムなど幅広く執筆活動を行っている。親しみやすい文体のなかに見える、鋭い着眼点や独特の語り口にファンは多い。