「遅い、うるさい、きたない」のディーゼル三悪を返上した新世代ディーゼル車。ガソリンの『E350』と直接、乗り比べても、「あれっ、いま乗ってるの、どっちだったっけ」としばしば迷うほどの出来。
ディーゼルならではの強大なトルクのおかげで、グワっと鎌首を持ち上げるように加速するスタートダッシュの力強さは、むしろE350をしのぐ。
燃費のよさと軽油の安さとの相乗効果で、燃料代はE350より3割強おトク。といったって、車両価格はどちらも800万円台。“省貯金”にはならないが、お金持ちにも“安く走る”喜びを与えるクルマであるのは事実。
欧州乗用車市場でのディーゼル比率はすでに5割。メルセデス『Eクラス』では7割にも及ぶ。ディーゼル嫌いの日本とのあいだにある乖離を解消するうえでも、輸入されねばならなかったモデルである。なにはともあれ、ディーゼル鎖国の門をまずはメルセデスが開けた。さすが自動車界の盟主。リスペクトしましょう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★☆
インテリア/居住性:★★★☆☆
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★☆
オススメ度:★★★★☆
下野康史| モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集部を経て、モータージャーナリストに転身。現在はクルマ雑誌を始め、週刊誌のコラムなど幅広く執筆活動を行っている。親しみやすい文体のなかに見える、鋭い着眼点や独特の語り口にファンは多い。