4 | アンダーステイトメント |
ところで、今回完璧な質の高さを達成したLSを見て、私はレクサスを充分に理解していなかったことに気がついた。存在感に関して、プレスリリースに「そこに存在するだけで周りの空気を支配するかのような品格」と表明しているように、レクサスの性格は、あくまでアンダーステイトメントを目指していたのである。
押しの強さや個性を積極的にアピールして反感を持たれるのを避け、周囲との調和を尊重した「質の高さが薫る控えめな品格」が狙いなのである。私としては、先の『GS』に対して個性的な顔が無いのが最大の不満であったが、そういうことならば、それで良かったことになる。
特徴のある顔ではなく、骨格やデザインの卓越した「美」が、最後に登場した21世紀型プレミアム車の、誰にも真似のできない個性であり存在感なのかもしれない。つまりフロントグリルの個性を競い合う高級車のなかで、レクサスの「無の境地」を表しているかのようなフロントグリルこそ、レクサスの独創性なのである。